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やっぱり、セブン&アイの買収提案は悪い話なのか いやいやそうでもない、これだけの理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月21日 9時35分

 日本の会計基準を採用していることから、スピードウェイの買収によって暖簾(のれん:時価評価純資産と買収価額の差額)が発生するため、この年からはEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)を強調する形で、成長しているという点を見える化し、株主を大きく意識した記載へと変化しました。また、同日に決算説明資料とは別に今後の見通しも示しました。外圧によって大きく変わった年だったのです。

 セブン&アイはこのタイミングで、グローバル(基本は米国)におけるコンビニの成長戦略を示しました。具体的には、チルド品なども充実させ、単純に「ガソリンスタンドに併設するコンビニ」ではなく、プライベートブランドなどを出すことによる付加価値の提供で「選ばれるコンビニ」を目指しました。それにより粗利を増やす戦略のため、わらべや日洋(セブンに調理済食品を供給)を誘致、日本の事業での勝ちパターンを米国でも展開していくことを発表しました。

 セブン&アイの粗利構成比は加工食品を中心とした商品が多い一方で、ACTはガソリンで稼いでおり、安定的に収益を得ていることが分かります。また、米国における店舗数もセブン&アイが1位で、ACTが2位となっています。

 米国での成長はセブン&アイとACT両者が最重要視していること、米国における店舗数もトップ2であること、互いの強みが異なり補完関係になれる可能性が高いことなどを加味すると、ACTからの買収提案は非常に合理的だと考えています。

 米国での成長を最優先に考えるのであれば、ACTがセブン&アイを買収しようと考えるのは合理的な判断だと考えています。セブン&アイが強いとされるオリジナルの加工食品を手に入れられることになりますし、両社の販路が使えればシェアも稼働率も向上し粗利も上昇させられると考えているのではないでしょうか。

●なぜ評価されないのか

 次に、セブン&アイとACTの財務諸表を見てみましょう。

 両者の時価総額と企業価値を比較してみると、ともにACTのほうが大きいことが分かります。ただ、減価償却に左右されずに会社がどれほど利益を上げているかを示すEBITDAを見ると、セブン&アイは1兆円と、ACTよりも稼いでいることが分かります。EBITDA利益率も高いことが分かります。

 では、なぜセブン&アイは市場の評価がACTに比較して低いのかを考えてみると、資産回転率の低さが影響しています。ACTの2.1、セブン&アイの0.93という数字は、ACTは持っている資産を使ってその2倍以上の売り上げを作れるのに対し、セブン&アイは1倍に満たないということを示しています。

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