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やっぱり、セブン&アイの買収提案は悪い話なのか いやいやそうでもない、これだけの理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月21日 9時35分

 セブン&アイはEBITDA利益率が高いものの、そのために使っている資産が多すぎる状況で、売り上げを上げるための効率が悪いと見られてしまっている状態です。これにより、いくらEBITDAが高くても、セブン&アイの評価が低くなっているのです。

 セブン&アイの手元には現金が1兆5000億円ほどあり、手元に多くのキャッシュを持ってしまっていることになります。上述のように資産回転率が悪いため、ACTに比べるとビジネスで必要な額以上の資本をもっており、「非効率」と評価される状態でもあります。

 EBITDAで比べた場合、収益力においてセブン&アイはACTより優れており、ACTに引けをとりません。一方、持っている資産を使って売り上げを作る力でいうと、ACTにかなり見劣りしています。

 また、買収の場合はプレミアム(上乗せ)が付きますが、セブン&アイという会社自体に1兆円以上の現金があり、一部は現金を現金で買っているのと同じです。セブン&アイが多額の現金を持っていることにより、その事業自体はもっと安く買えることになってしまうため、買収する側には想像以上に割安に見え、「買収したらおいしい」と考えられた可能性があります。

●買収で「優れた企業になる」という選択肢を捨ててよいのか

 前述の通り、セブン&アイは規制業種にあたるため、買収には日本政府の承認が必要なのではないかとの見方があります。

 財務省が「外資による買収防衛目的で、コア業種へ格上げすることはない」という報道が出ていました。しかし、その「コア業種への格上げ」が万が一通ってしまうと、日本製鉄がUSスチールを買収することとは逆になってしまいます。そうなった場合、多くの投資家に対して日本の市場は世界に開かれていないという印象を与えてしまうでしょう。

 上場会社に対する東京証券取引所からの「資本コストや株価を意識した経営」への対応要請などにより、日本企業は今、資本市場と向き合うべく変わろうとしています。日本の株式市場は乱高下しているものの、海外投資家は逃げていません。こうした状況の中で「買収への抵抗」が起きてしまうと、かなりネガティブな反応をされてしまうでしょう。

 果たしてそれは日本経済にとって本当に良いことなのでしょうか。私は、もっと合理的な判断をもって、日本社会が買収を許容できるようになると良いと感じています。自民党総裁選を控える中で、幸い買収についてはネガティブなコメントは特段ありませんでした。個人的には、日本社会や政府機関が買収に抵抗するような状況にならなければ良いと考えています。

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