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日立社長が「現場作業者の働き方改革」に注目するワケ “4つの人間力”を拡張せよ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月29日 19時39分

 10分以内で新幹線車内をきれいにする清掃サービス、そしておもてなしの精神で利用者を迎える旅館業などのサービスも日本の強みだと、小島社長は語る。この高い製品とサービスを支えているのが、現場作業者であるフロントラインワーカーだ。

 「この“現場の力”こそが、日本が世界に誇れる強みだと言えます。しかし、そうした現場がいま人手不足の危機にひんしています。データとテクノロジーでこの問題にしっかりと取り組み、解決することが求められていると私は考えています」(小島社長)

 フロントラインワーカーの例として、小島社長は製造工場の組み立て担当者や、物流を担うトラックドライバー、医療現場を支える看護師などを挙げた。

 「フロントラインワーカーの方々は、絶えず変化する現場の環境に合わせて仕事をしています。頭脳と肉体をリアルタイムで統合的に活用し、環境変化に柔軟に対応しながら目標を達成する。フロントラインワーカーの仕事は心身への負荷も高く、極めて高度な活動だといえます」(小島社長)

 そのため、フロントラインワーカーの仕事をそのままデジタルやロボットによって自動化して置き換えることは、とても難しく非現実的だ。「しかしテクノロジーによって、人間が使う一つ一つの力を拡張することは可能だ」と小島社長は指摘する。

 小島社長によると、フロントラインワーカーは「思考力」「コミュニケーション力」「五感力」「作業力」の4つの人間力を発揮しているという。「思考力」は、現場で起きるさまざまな変化や課題に対し、臨機応変に解決策を導き出す力。「コミュニケーション力」は、仲間と情報を共有し、必要な合意形成を図る力。「五感力」は、視覚、聴覚、触覚などを使って、周囲の様子を感じとる力。そして「作業力」は、自らの身体や道具を使って、仕事を進める力を指す。

 フロントラインワーカーは現場で、この4つの力を同時に発揮しながら、仕事に取り組んでいくという。

 例えば製造現場で機械のトラブルが発生した際には、フロントラインワーカーは、異音を聞いたりエラー表示を見たりすることで、機械の異変に気付く。過去の経験に基づいて、緊急に対策を考え、仲間と相談して指示を出す。そしてラインを停止し、機械の部品交換作業スケジュールの組み換えを進めることによって、現場全体で復旧の対策をしていく。

 この4つの人間力を、どのようにデータとテクノロジーによって拡張できるのか。まず「思考力」においては今後、生成AIは、文字だけでなく図面、映像、音声といったさまざまなタイプの情報を学習できるようになるという。

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