「ピクトグラム」では良さが伝わらない…… ワークマン、機能の「格付け」を始めた背景 対ユニクロも意識か
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月24日 6時15分
現状のワークマンの1人当たり買い上げ点数は2.5点。もう1点購入点数が増えれば客単価は1100円上がりますので、現在2977円の客単価が4000円になる可能性もあります(数値は2024年3月期決算資料を基に筆者推計)。単純計算で、店舗数が増えなかったとしても全体の売り上げを630億円押し上げられるのです。もちろんここまで一気に上がることはないでしょうが、売り方を変えていけば今の国内だけでもまだ売り上げを上げられると同社は見ているということです。
●今後は格付けを世界標準に?
格付けを導入したもう一つの理由は、ワークマンの業界内におけるポジショニングの変化です。
ワークマンはこれまで「機能性×低価格」を武器に、作業服の専門店から、機能性ウエアの専門店としての地位を確立してきました。しかし「ワークマンプラス」「#ワークマン女子」や「Workman Colors」などの新業態により、徐々に大人カジュアル、アウトドアカジュアル、デザインを重視したアイテムが増えてきました。もともとは図表内で左下のポジショニングだったのが、今ではユニクロを筆頭に、国内SPAブランドと競合する場面も見られるようになっています。
一方、ユニクロはヒートテックやエアリズムなどの機能性商品を続々と開発しており、機能性では世界中で高い評価を得るブランドになっています。つまり、両社は別々のポジションにいたはずですが、同じような市場で競合し合う関係になり始めています。そこでワークマンはあらためて自社の一番の強みである機能性に特化することで差別化しようと、機能格付けを始めたのでしょう。
ワークマンでは今後、格付けを日本の同業者へ普及させて世界標準にし、世界へ店舗網を拡大していくためのデファクトスタンダードにしようともくろんでいます。その上で、機能に特化したアパレル小売りチェーンとして拡大していく想定です。今秋冬の目玉商品である「XShelter 断熱」シリーズは、オンラインストア限定で予約販売したところ4日間で2万点を販売し、早くも売り切れて予約販売を終了しています。格付けは、秋冬のアウター商戦を乗り切り、同社の描く世界進出につながる取り組みとなるでしょうか。新しい動きに注目したいと思います。
(岩崎 剛幸)
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