1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

やっぱり、ドンキの免税品は売れている なぜ訪日客が“つい”買ってしまうのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月26日 6時30分

 道頓堀御堂筋店では、医薬品、菓子、たばこ、酒などがインバウンド顧客に人気だ。アミューズメント性の向上のために外壁には、47都道府県のご当地ドンペンをデザインするほか、各階も商品特性やテーマに沿った世界観を演出することで、まるで観光地に来たような感覚を味わえる工夫を施している。

●それぞれの店舗で、それぞれの顧客体験を提供

 インバウンド強化型店舗も、ドン・キホーテ全体の特徴である「個店主義」を踏襲する。現場責任者である店長に裁量権が与えられているほか、MDプランナーと呼ばれる売り場の責任者に仕入れ権限を付与することで、地域や店舗のニーズに応える柔軟な運営を可能にしている。

 道頓堀御堂筋店でも、アミューズメント性や価格の見せ方など、店舗作りの細部に独自性が見られる。例えば、店頭では地域最安値を打ち出した競合対抗商品の価格を大々的に訴求し、「安さ」を視覚的にアピールしている。

 また、多言語対応可能なスタッフを各所に配置しているほか、外貨両替機の設置や、商品詳細を多言語で説明する「ペイク」と呼ばれる機器の導入など、言語の壁を越えた買い物体験を提供している。さらに、店内には10メートルごとに音声案内を設置し、付近の商品を多言語で紹介するなど、きめ細かな対応を行っている。

 インバウンド需要の取り込みにおいて、PB商品とOEM製品の強化にも注力している。同社は「以前に比べて、当社のPB・OEM製品の支持が高まっていることは大きな違い」と分析する

 実際、2024年6月期のPBまたはOEM商品の売上高は2461億円(前期比482億円増)、売上構成比は19.3%(同2.0ポイント増)と伸長している。これらの商品は、ドン・キホーテでしか購入できない独自性を持っていることから、訪日客にとって魅力的な「日本のお土産」となっていることがうかがえる。

●訪日客向けのスマホアプリも

 訪日客の買い物体験の向上のために、テクノロジーの活用も進めており、レジ待機列の短縮にも力を入れている。インフラの整備やオペレーションを改善した結果、レジ待ち時間が1分ほど短縮されたという。

 さらに、2025年6月には、訪日客向けのスマホアプリ「マジカグローバル」のリリースを予定している。訪日顧客の会員化を行い、来店動機の向上や口コミ機能による顧客の声から満足度の向上を図ることが狙いだ。

 これらの取り組みにより、ドン・キホーテは「日本で立ち寄るべき場所ナンバーワン」の実現を目指す。2027年には免税売上高1750億円(2024年比577億円増)という目標を掲げ、さらなる成長を見込んでいる。

 インバウンド需要のさらなる取り込みに向けて、積極的な店舗展開を進めている。年間2~3店舗のペースでインバウンド強化型店舗の増加を計画し、顧客の分散と満足度の向上を図る狙いだ。

 一方で、インバウンド需要の急増に伴う課題もある。店舗の混雑によるレジ待機列の長さや、訪日客の急増による国内顧客の来店離反の可能性だ。これらの課題に対し、ドン・キホーテは訪日客と国内顧客の双方の満足度向上を目指し、店舗の設備改善や新規出店による顧客の分散を図り、ストレス緩和と満足度の向上に取り組むとしている。

 インバウンド需要の取り込みは、ドン・キホーテの成長戦略の重要な柱のひとつとなっている。今後、いかに訪日客と国内顧客の両方のニーズに応えていくか、その取り組みに注目が集まる。

(カワブチカズキ)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください