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富士通ゼネラル製「クーラー付きリュック」がヒット きっかけは会社まで徒歩20分、汗だく社員の悩みから

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月27日 8時30分

富士通ゼネラル製「クーラー付きリュック」がヒット きっかけは会社まで徒歩20分、汗だく社員の悩みから

富士通ゼネラルの「クーラー付きリュック」が人気だ

 空調機メーカーとして知られる富士通ゼネラルが、「クーラー付きリュック」を開発し、売れている。Makuakeで50万円の目標金額に対して、500万円を超える応援購入があった。なぜリュックを作ることになり、そしてなぜ顧客に支持されたのだろうか。

●駅から徒歩20分。通勤時に背中が汗だく……ある社員の悩み

 観測史上最高の猛暑が続いた今年の夏。9月に入っていくらか涼しくなったものの、いまだ気温30度を超える日は珍しくない。外出すると汗ばむ時期は続きそうだ。こうした中、米Amazon.comが全社員に対して週5日出社を義務付けることを発表するなど、コロナ前の出社形態に戻す会社も増えている。

 困るのは通勤や営業先訪問など移動の多いビジネスパーソンだ。リモートワークに慣れてしまった身体にムチ打って、猛暑のなかで徒歩移動をしたり、汗だくのまま満員電車に乗ったりしなければならない。

 富士通ゼネラルはこの問題を解決する商品を発表した。それがクーラー搭載リュック「コンディショニングバックパック」だ。

 リュックを開発した担当者は、普段から通勤カバンとして使用していたリュックに悩みを抱えていた。富士通ゼネラル本社オフィスは最寄り駅からオフィスまで徒歩で20分程度かかる距離に位置している。毎年夏になると移動に伴う暑さと、リュックに接している背中に汗をかく不快感に悩んでいたのだ。

 会社に着いた時点で疲労感と不快感がたまるので、一日の仕事のパフォーマンスにも影響する。そんな中、新規事業創出に向けた事業アイデアの社内公募を見かけた。「自分が抱えている課題を自社の技術を使って解決できるのでは」という思いから開発したのがコンディショニングバックパックだ。

●背負ってる方がむしろ涼しい

 このリュックは空調機メーカーである自社の技術を応用し、リュックが接する背中の体感温度を7度下げるというもの。そのため、むしろ背負っている方が涼しいのだ。移動は快適なものとなり、通勤・移動後の仕事のパフォーマンスの維持、向上につながる。シャツの汗ジミを回避できるため、ビジネスパーソンとして重要な清潔感アップにも寄与する。

 購入したユーザーからは「普通のバックパックを背負ってるとシャツに汗ジミができてしまうので、気にならなくなってうれしい」という声も届いた。

 空調機メーカーなら、自社が得意とする「室内」の空調機の改善に意識が集中してしまいそうなものだが、自社が提供できる価値を柔軟に考え、「移動中の課題」に着目した点がユニークだといえる。

 自社の提供価値を柔軟に見直すと、思わぬイノベーションにつながることがある。既存の枠にとらわれず、自分たちが本当に貢献できる領域はどこか、あらためて考えてみることで、新たなチャンスが生まれてくるのかもしれない。

●著者プロフィール:早川将司(はやかわ・まさし)

株式会社マクアケ MIS事業部 新規事業開発プロデューサー

1986年生まれ。2009年法政大学卒業後、ブライダルプロデュース会社、マーケティング会社、デザインコンサルティングファームを経て2020年に株式会社マクアケに参画。入社後からはMakuakeでの先行販売時におけるコンサルティングだけでなく、新商品やサービスの企画・開発段階から新規事業立ち上げに至るまで一貫した支援を行うMIS事業部にて新規事業開発プロデューサーとして従事。

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