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10年で売上倍増 エレキギターFenderトップに聞く、日本市場の開拓法

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月14日 10時56分

 「私はナイキやディズニーで働き、当社のアジア地区を統括するエドワード・コールもラルフローレンなどで働きました。旗艦店を立ち上げた時は、その地域のビジネスは、実は相乗効果で成長するのです。事実、卸売の方々は『過去1年の伸び率は記録的な伸びになった』と私に話してくれました」

 日本市場を重視する姿勢は、商品開発にも表れている。日本人の体形や特徴を徹底的に調査して作った『Made in Japan Junior Collection』がそれだ。ボディーサイズを94%スケールダウンさせたもので、日本側で企画。エントリー層や若年層を狙ったギターだ。

●愚直に意見を聞くDNA

 ムーニーCEOによると、消費者は2タイプに分かれるという。

 「1つ目は、本当にギターを弾くのが好きな人たちです。旗艦店に来て、商品ラインアップやディスプレイなどに感動してくれるものの、購入はせず、行きつけの販売店で購入します。その方が(値引きや特典をつけてくれるので)良い買い物ができるからです。もう1つは、とにかく店の中を見てみたいという人々で、友人や子どもなどが、ギターを演奏している場合が多めです。フェンダーのTシャツ、野球帽、アクセサリーなどを買ってくれます。これらはライフスタイルのカテゴリーに属しますが、売上高は私たちの想定以上の伸びを示しています」

 2023年に進出したアパレル事業は、好調なようだ。その背景には、フェンダーというブランドが長年にわたって築き上げてきたブランド力がある。

 「認知度は、各ブランドが作り上げてきた商品の積み上げの先に成り立つものです。創業者のレオ・フェンダーはギター奏者ではありませんでした。だからこそ、彼は一生懸命にアーティストの声を傾聴し、彼らのニーズをくみ取り、商品に反映させてきました。当社はこれを70年ほど続けているのです」

 ムーニーCEOはナイキやディズニーを渡り歩いてきたマーケティングのプロだ。マーケティングプランを実行するのに重要なのは、客や人の話を聞くことでもある。「人の話を聞く」のがフェンダーのDNAなのかと尋ねた。

 「Yes and Yesです(笑)。私はナイキで、20年ほどアスリートたちの話を聞きながら商品を開発してきました。その方法と、フェンダーがアーティストの意見を聞いてギターを作ってきた姿勢は同じなのです。彼らを満足させなければ、業界のナンバーワンになれません。アーティストやアスリートが採用してくれる商品を作ることが、メーカーの使命なのです」

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