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「ゆかり」一本足打法からどうやって抜け出した? 三島食品の運命を変えた“事件”とその後

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月14日 10時32分

 「知らん男が1人増えとる」といった投稿を皮切りにSNSで話題沸騰。「ひろし」は年間目標の1万ケースを発売からわずか1カ月ほどでクリアし、販売額(出荷ベース)は当初見込みの約8倍となる4億3000万円に上った。

 そして、24年1月にはわさびの「しげき」が発売。「(辛さの)刺激が強いから『しげき』。これはちょっと原材料とは外れとるけどね……」と野口氏は苦笑いする。

 こうして商品を出すたびにネット上で盛り上がるように。これをきっかけに社内ではいろいろとユニークなアイデアが社員から出てくるようになった。

 「意識が一番変わったのはSNSで話題になってから。やはり注目されると社員も面白いじゃないですか。そうすると、『もっと何かないか?』と考えるようになりました。急にアイデアが増えたと思いますね」

 時を同じくして、文房具や靴下といった同社の商品のデザインを使用したオリジナルグッズも増えた。基本的には他社からの依頼・提案で作られているが、通常商品以外でもさまざまな側面から会社のブランドを積極的に発信するようになったことで、社外からの印象は確実に変化していった。今では、三島食品は面白いことを仕掛ける会社、尖った会社だというイメージができつつあるようだ。ユニークな発想やアイデアの具現化が、社名の認知度アップにもつながっているのは間違いない。

●売り場のにぎやかしにも一役

 「名前シリーズ」はSNSでのバズりだけにとどまらなかった。営業面でも成果をもたらしている。一例を挙げると、スーパーマーケットの棚を面で獲得できるようになり、売り場での三島食品の存在感を発揮できるようになった。当然、売り上げも連動して増加した。

 「通常は商品棚に単品で並んでいますよね。でも、名前シリーズができてから、ふりかけ棚というよりも、大陳と言ったりするのですけど、うちの商品だけで売り場に場所を作ってもらえるようになりました。他社と比べてその陳列が特徴的で、認知度アップになっているかもしれません。同じようなデザインの商品がずらりと並んでいると、お客さんはすごく強いイメージを持つようです」

 そこから小売・流通とのコミュニケーションはさらに深まっていき、提案活動の幅も広がった。23年から同社が取り組む「メイン食材販売支援プログラム」もその一環といえよう。これは、スーパーの生鮮食品販売をサポートするため、「ゆかり」を活用したレシピを提案するというもの。

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