ドコモ「出向しながら起業できる」社内制度がすごい 応募者急増のワケ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月14日 10時27分
NTTドコモ経営企画部の原尚史事業開発室長
1946年創業のソニーグループと、1948年設立の本田技研工業(ホンダ)は戦後の日本を代表するグローバル企業だ。日本ではそれ以降、世界的なスタートアップを生み出せていないとの見方もある。
評価額10億米ドル以上、設立から10年以内の未上場のテクノロジー関連のスタートアップの企業をユニコーン企業と呼ぶ。会計・経営コンサルティング企業のKPMGが2023年3月に発表したレポートによると、2018年の米国では、ユニコーンは139社だった。2022年には648社に急増している。中国は同89社が同173社となったのに対し、日本は2018年が1社、2022年が6社しかない。
そんな中、通信大手のNTTドコモは2023年7月、グループ社員から生まれた新しいアイデアをもとに、新規事業を創り出すプログラム「docomo STARTUP」を始めた。この制度のユニークな点はドコモに在籍しながら出向という形で起業できる点だ。日本から数多くのユニコーン企業が生まれる起爆剤になることを期待できるのか。ドコモ経営企画部の原尚史事業開発室長に、制度の意図を聞いた。
●出向が可能な仕組み 再雇用の道まで用意
原室長は「ドコモには以前から社内ベンチャー制度はあった」と話す。
「2001年ぐらいから制度はあって20年以上、運営してきました。ですが、モノになったのは4、5社です」と語る。その中でショックなこともあったという。「実はいいアイデアが出てきた時に、企画した人間が『自分たちは外に出てやります』と言って退職したケースがあったのです」
この状況に危機感を持ったドコモは、社員が新しい事業のチャレンジができるシステムを作れないかと考えた。それが、新規事業創出プログラム「docomo STARTUP」だ。特徴は「学ぶ」(COLLEGE)、「挑む」(CHALLENGE)、「育てる」(GROWTH)の3つのステージに分かれること。さらに最後の「育てる」のステージでは子会社化する「AFFILIATEコース」と、マイナー出資を受ける「STARTUPコース」の2つに分かれる。
「特徴的なのはSTARTUPコースです。ドコモの出資が15%未満なので、社員が創業者として株を持って外に出る形です。条件は、自らベンチャーキャピタル(VC)を回ってリードインベスターを連れてくることです。(個人に給与所得として支給する)300万円のSTARTUP BONUSなどインセンティブもしっかりつけています」
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