「iPhone 12」を分解 バッテリー容量が減少した理由、米国モデルが搭載するミリ波ユニットの特徴は?

ITmedia Mobile / 2021年2月23日 6時5分

 Sub-6とミリ波は周波数の開きが大きい。Sub-6はLTEの部品の延長で運用できる部分もあるが、ミリ波は専用のICやアンテナが必要となる。多くの場合、短冊形をしたモジュールにアンテナやICなどを詰めて「Antenna in Package(AiP)」を構成しており、Qualcommが量産しているAiPは1個およそ15ドルである。どのようにスマホを握ってもミリ波通信可能な状態を維持するため、スマホのあちこちに複数のAiPを搭載する。

 iPhoneではデータ通信用に2か所、センサー用として1か所、合計3か所にミリ波モジュールを搭載している。内訳はAiPが1個、メインボードに1個、センサー用に1個となる。いずれもQualcommからICだけを購入し、アンテナを含む残りの部分は自前で開発したと思われる。

 AiPは、村田製作所がパッケージングしたと推定される。パッケージ内部にはQualcommのミリ波送受信兼周波数変換器用ICが1個、電源ICが1個搭載されているとみられる。これらはグレーの樹脂の内側にある。裏側の黒い面はアンテナで、X線で見るとアンテナ4個が認められる。アンテナにはミリ波に適した信号減衰の少ない「液晶ポリマー」と呼ばれる材料が使用されている。

 2つ目のミリ波ユニットはメインボードに搭載されている。アンテナとICが分離しているのが特徴だ。メインボードの片側に村田製作所のモジュールがあり、中身はAiPと同様だ。その基板の裏側にミリ波アンテナ8個がステッカーのように装着されている。日本版などミリ波非対応のメインボードを見ると、この場所には無数のアンテナ接続ポイントを見ることができる。

 アンテナとICを分離した「非AiPミリ波ユニット」は、iPhoneが世界初の採用例と思われる。薄いアンテナが独立することで設置場所の自由度が高まる。本体の薄型化などに対応しやすく、透明なアンテナなどが開発されれば、ディスプレイ側にアンテナを設置するスマホも登場するかもしれない。

 3個目のミリ波ユニットはデータ通信用ではない。高周波の電波が人体に与える影響を考慮し、スマホと頭部の距離を測定し、距離に応じてデータ通信用ミリ波アンテナの出力を調整する役割と推定される。搭載場所はディスプレイ部の顔認証「Face ID」用赤外線カメラと自撮用カメラの間である。このような目的で使用される電波は、「ISM (Industry, Science, Medical)バンド」と呼ばれている。世界中で使用されており、周波数は14MHzから24GHzまで幅広い。

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