スマートフォンはなぜ発熱するのか そのメカニズムと機構面での対策を考える
ITmedia Mobile / 2023年11月20日 12時23分

車のダッシュボードなど、高温環境下でスマートフォンは発熱しやすい
スマートフォンの高性能化が進むとともに、発熱を気にする声も多くなっている。スマートフォンはなぜ発熱するのか? 今回はその原理的な理由について考えてみたい。
●スマートフォンが発熱する原因は「電気抵抗」にある
「なぜ、スマートフォンは発熱するのか」
スマートフォンの発熱についてはよく議論されるが、なぜ発熱するのかといった点は素朴な疑問ながら、あまり深く考える機会はない。
一般にスマートフォンに搭載されるプロセッサ、メモリ、ストレージなどは半導体部品に分類される。これらにはトランジスタなどの半導体とこれらをつなぐ配線があり、電気的に見ると多かれ少なかれ「抵抗」が発生している。
抵抗に電流を流すと発熱するのと同じくして、多くの半導体部品が使用されるスマートフォンに電流を流せば、多かれ少なかれ発熱は必ず発生する。
ここでの半導体部品は「純粋な単体の半導体」ではないため、半導体の特性である「熱を持つと抵抗値が下がる」という部分はいったん触れないでおく。
例えば半導体部品の例として、リニアレギュレーター(電圧安定化電源回路)がある。これは半導体の電圧降下を利用して電圧の安定した電源を作ることができる。ただ、入力したエネルギーを全て変換することはできずに損失が発生してしまう。このときの損失は発熱として熱エネルギーに変換される。
われわれが利用しているスマートフォンには上記の回路をより小型化し、各種チップに収めたものが、必ずといっていいほど採用されている。どれだけ優れた半導体部品を設計しても、必ず損失が発生するので効率100%のものはない。与えた電力のうち数%は損失という形で発熱になるのだ。
もう1つ、発熱を考える上で重要なものは、配線の持つ抵抗だ。スマートフォンの核となるSoCなどの内部には無数の回路が張り巡らされている。また、SoCとメモリ、ストレージ、カメラなどの入力デバイスを接続する膨大な配線がある。この配線が持つ抵抗もゼロにすることはできないため、少なからずロスが発生する。
これに対し、スマートフォンでは配線距離を短くしたり、必要電力量に応じて太さを変えたりする方法でも対策をしている。
この配線抵抗は導体の温度が上がると、抵抗値は上昇してしまう。SoCが発熱し、並行して配線の抵抗値が上昇すると電力の損失がさらに増える。この損失は発熱という形で表面に出てくる。
結果として性能は思うように発揮できず、ロスとなる発熱だけが増える。「発熱→配線抵抗値が上昇→さらに発熱する」といった悪循環になってしまうのだ。
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