1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

偶然に身を委ねる意思決定ツール「タマタマゴ」は“令和のアナログコンピュータ”なのかもしれない

ITmedia NEWS / 2024年8月31日 18時17分

偶然に身を委ねる意思決定ツール「タマタマゴ」は“令和のアナログコンピュータ”なのかもしれない

HATENALABO「Tamatamago ハテナホワイト」は1万1000円。ボール(ポリスチレン製)が10個付属する

 HATENALABOの「Tamatamago(タマタマゴ)」は、卵形の意思決定ツールだ。石膏で作られた卵の上部にある穴に、小さなボールを入れると、下部の3つの穴のどれかからボールが出てくる。その3つの穴を、例えば「やる」「やらない」「保留」と決めて、あとはボールがどこに出てくるかに任せる、といった使い方が想定されている。

 この3つのどの穴から出てくるかの確率が、ほぼ3分の1になっているというのが、この製品のポイント。要するに、何かを決める時に、サイコロや鉛筆を転がしてその出た目に任せるアレを、卵形のブラックボックスで行うようなものなのだ。

 ただそれだけのものなのだけど、これが、実際にモノに触れて、ボールを自分で入れてみると、不思議と楽しいのだ。それこそ、単に1から3の数字をランダムに表示させるというだけなら、PCを使えば簡単に実現できる。

 試しに、Capliotに「クリックすると1~3の数字のどれかをランダムに表示して、もう一度クリックすると数字が消えるというJava Scriptを書いてください」と入力したら、1秒もかからずに、ちゃんと動くプログラムを書いてくれた。

 しかし、クリックして、1~3の数字が表示されたところで、そこに「面白さ」はない。仕組みも書かれたコードを見れば明らかで、不思議もない。

 Tamatamagoが面白いのは、ボールが卵の中を通って出てくるという「動き」と、それが3つの穴からランダムに、しかしほぼ3分の1の確率で出てくるという「不思議」という、2つの面白さが重なっているからだろう。同じようにブラックボックスでも、コンピュータは「計算機」であり、だったら、こういう処理は得意だろうという理解がこちら側にある。しかし、ボールを転がすという至ってアナログな仕組みが、何らかの計算が必要に見える現象を起こすと、そこにはちょっとした「不思議」が表れる。

 ジョージ・ダイソン著「アナロジア AIの次に来るもの」(早川書房)には、ライプニツの機械式コンピュータの話が出てくる。この18世紀に考案されたコンピュータは、ビー玉が転がる先のゲートが開いているか閉じているかのオン/オフで計算を行うという、機械によるデジタル・コンピュータの試みだった。

 ところが、このTamatamagoには、オン/オフを司るゲートは存在しない。そして、結果も2つではなく3つなのだ。最終的に出口を3つに固定しているという意味では、デジタル的ともいえるけれど、その結果を導くためのゲートは存在しないわけで、つまりこれは、アナログコンピュータと呼んでいいのではないかと、6月に東京ビッグサイトで行われたイベント「インテリアライフスタイル」で、Tamatamagoの試作品を見た時に思ったのだった。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください