1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

偶然に身を委ねる意思決定ツール「タマタマゴ」は“令和のアナログコンピュータ”なのかもしれない

ITmedia NEWS / 2024年8月31日 18時17分

「ジョルディさんは、同じシステムを使った色んな形を作っていたんですけど、その中で3分の1がいいんじゃないか。イエス・ノーだとつまらないけど、イエス・ノー・多分、の3つなら面白いということになりました。仕組み自体は、実はかなりシンプルなものなんです」と言って、砂口さんが見せてくださったのは、医療器具などを作るのにも使われているという高精度の3Dプリンターで作られた物体だった。

 それは、下に行くに従って細くなっている螺旋状の管の最下部が3つに分かれている形状の手のひらにのるくらいのもの。つまり、この螺旋状の管を、ボールが滑り落ちていって、3つの出口のどれかから出るということなのだろう。

「管をこんな風に螺旋(らせん)状にして、その螺旋でボールをスピードアップさせてから一点に収束させれば、3つの出口から均等な割合で出てくるんじゃないかというのを、ジョルディさんが3Dプリンターでいくつも試作して、スペインから送ってもらったり、データをもらって、こっちで出力したりしながら、少しずつ作っていきました。卵形にした時に、卵に見える程度のサイズの中に収まるようにするのが大変でした。その制約の中で、スパイラルの角度や、螺旋の数、ボールには何を使うかなどを、さまざまに検証して、どうにか辿り着いたのが、この最終形態です」と砂口さんは、その、ちょっと生き物の内臓にも似た物体について話してくれた。写真は流石にNGではあったけれど、最初のイメージ図は公開を許して頂いたので、この図から想像してみてほしい。

 しかも、3分の1の確率になっているかどうかの検証も、砂口さんとジョルディさんが、せっせとボールを何百個と入れて行ったという。理論的にそうなる仕組みだったとしても、実際に作ると誤差も生まれるし、ボールのふるまいは必ずしも計算通りにいくわけではない。

 そうなると、検証は実際にやってみるしかないのだ。だから、当然だが、このTamatamagoは、あくまでも約3分の1の確率で、ボールが出てくるという書き方になる。でも、それで十分ではないかという気はする。サイコロの目をコントロールしたり、ルーレットで目指す穴に落とすなんて技術は、大昔から伝わっているわけで、ならば、このTamatamagoは、そういう人為的なコントロールが出来ない分、意思決定ツールとしては優秀だと思うのだ。

 ボールを何にするかも大きな課題だった。素材は何にするか、重量はどのくらいがいいのかなどを考えて、一時はマグネット球を使うというアイデアもあったそうだ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください