世界初、“ネコ用iPS細胞”の安定作製に成功 新たな治療薬への応用に期待 大阪公立大など
ITmedia NEWS / 2024年9月25日 9時35分
大阪公立大学大学院獣医学研究科や再生医療ベンチャー・ときわバイオ(茨城県つくば市)などからなる研究チームは9月4日、高品質なネコ用iPS細胞の安定作製に成功したと発表した。今回の成果により「慢性腎臓病などの病態解明や、新たな細胞治療法の開発が期待される」としている。
大阪公立大などによれば、ネコは犬に比べiPS細胞に関する研究が少なく、あったとしてもがんにつながる可能性があったり、品質が低かったりしたという。原因はiPS細胞の作成時、遺伝子を細胞内に導入するために用いる「ベクター」だ。
既存の研究ではレトロウイルスを応用したベクターを使っていたが、外来の遺伝子が導入され、細胞のゲノムが傷つくため、完成したiPS細胞ががんにつながる可能性があった。さらに、iPS細胞がマウスの体内で自ら分化し、体を構成する細胞を含む腫瘍を作る重要な能力「テラトーマ形成能」も持たなかったという。
そこで大阪公立大などは、RNAウイルスを応用したベクターを活用。ネコの皮膚細胞からiPS細胞の作製を試みた。これにより、テラトーマ形成能を持つiPS細胞を、ゲノムを傷つけることなく作製できたという。
iPS細胞の作製を効率化する手法も分かった。研究では、遺伝子を挿入していない皮膚細胞が、過剰な増殖により、遺伝子を導入した細胞のiPS細胞化を妨げる可能性も分かっていたという。そこで、遺伝子を挿入していない皮膚細胞を薬剤で除去したところ、iPS細胞の作製を効率化できることが判明した。
さらに、皮膚細胞だけでなく、避妊手術により摘出された子宮からもiPS細胞を作製できたとしている。
大阪公立大らは今回の研究結果について「今後、本研究で作製可能となった高品質なネコiPS細胞を世界中の研究者へ提供することで、獣医再生医療研究や遺伝性疾患の病態解明、新たな治療薬の開発への応用が期待される」とした。
一方で、臓器の再生などについては「ネコiPS細胞から目的の細胞や臓器を創り出す研究は、これから進めていく必要がある。特にネコでは、慢性腎臓病や糖尿病が深刻な問題となっており、ネコiPS細胞から腎臓や膵臓を構成する細胞の作製方法の確立は、今後の研究課題」としている。
今回の研究は、2日に学術誌「Regenerative Therapy」のオンライン速報版に掲載されたという。
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