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CGになっても「これぞモルカー!」 あまりにすばらしい『PUI PUI モルカー ザ・ムービー MOLMAX』レビュー

ねとらぼ / 2024年11月30日 18時0分

 対して、今回の『ザ・ムービー MOLMAX』では、人間(人形)のキャラクターが思いっきりしゃべっている。こちらもまた「モルカー」らしからぬ表現だと思うかもいるかもしれないが、やはりまったく心配はいらない。むしろはっきりと人間の心情を語ることが、「行方不明になった相棒のモルカーの行方をみんなで探す」シンプルな物語の魅力にもつながり、後述もする「AIの功罪」という社会風刺をも強固にしていたのだから。

 そのしゃべる人間のひとり、ニンジン農園の農場主を演じるのは大塚明夫。渋くてカッコいい声質は言うまでもなく、相棒のモルカー「ドッジ」を心から案じる気持ちや、他のモルカーたちが協力してくれることへの感激が、演技を通してひしひしと伝わってくる。さらに、その中に垣間見える「涙もろさ」はキャラクターに深みを与え、観客の共感を誘う。作中で繰り広げられる「なんでこんなことに?」な状況では、観客の気持ちを代弁するように的確なツッコミを入れる場面もあり、彼の存在が物語をより楽しみやすくする効果を生んでいた。

 AIIモルカーの開発者にして、ベンチャー企業のCEO役の相葉雅紀もすばらしい。彼からは「この世界をより良くしたい」という実直さが確かに伝わる一方で、ときに寂しさや、はたまた生真面目だからこその危うさもあり、いい意味で「この人、大丈夫かな……」と心配もしてしまう役柄に、相葉本人の優しそうなイメージも手伝ってか見事にハマっていたのだ。

 ここでは伏せておくが、脇のキャラクターにも豪華声優陣が出演しているので、前もって調べておくか、またはエンドロールの名前を見て驚く楽しみ方もおすすめだ。

●3:AIモルカーが登場する意義と、やっぱり人間はゴミな認識の納得度

 さらに、今回の『ザ・ムービー MOLMAX』では、「ハイテクなAIのモルカー」が登場し、ドライバーたちは次々と最新鋭の「AI(あい)モルカー」に乗り換えていく、という描写が冒頭から待ち受けている。そう、この2024年に現在進行形で語られている、「既存の仕事や概念がAIに取って代わられる」様をストレートに描いているのだ。

 AIが人間の脅威となるSF作品はこれまでも数多く作られているし、今回の『ザ・ムービー MOLMAX』にもその側面はあるのだが、それだけではない。前述した相葉演じるCEOは善意でAIモルカーの開発に挑んでおり、味方になるAIモルカーの力もあって冒険を繰り広げる展開もあるため、AIを「悪」だと決めつけることもしていない。むしろ、AIの知見をアップデートするようなアクロバティックかつ誠実な結論が導かれる様は、AIを扱った物語として「最新」とさえ思えたのだ。

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