「マニアックな本はぜんぶ消滅」「一種の文化断絶」出版物の総額表示義務化反対の声広がる 綾辻行人氏、吉田戦車氏など著名人が続々リツイート

iza(イザ!) / 2020年9月16日 18時7分

現在は「本体価格+税」との表示が可能で、消費税率が変わってもそのまま販売を継続できる

 16日、ツイッタートレンドで「#出版物の総額表示義務化に反対します」というハッシュタグがじわじわランクをあげ、同日午後ついに1位に到達した。中国史関連の書籍などを出版している「志学社」の代表取締役、平林緑萌氏が発信したもので、著名な作家や漫画家をはじめ、編集者、書店員、そして一般の読者などの本にまつわるさまざまな関係者の投稿によって拡散している。

 出版物の総額表示義務化とは、書籍自体またはカバーへの表示を税込価格に変更することを義務づけること。店頭に陳列される期間が長くなり、その間に税率が変更される可能性のある出版物は特例として2021年3月31日まで義務化が免除されている。しかし、文化通信社のネットニュース「The Bunka News」が14日、11日に業界団体が開いた勉強会に出席した財務省主税局の課長補佐から、「基本的に(特例は延長せずに)終わるとの前提で進めてほしい」との説明があったと報じ、これに危機感を抱いた平林氏が反応。前述のハッシュタグをつけて「おのれ財務省……(詳しく説明すると長いのでアレなんですが、とにかく七面倒くさいことになり、少なからぬ出版物が品切放置せざるを得なくなる可能性がある)」とツイートしたところ、じわじわと共感の輪が広がった。

 このままいくと、税込価格表示されていない書籍は出版社が回収し、税込み価格のシールを1冊ずつ手作業で貼ってから、再び書店に送り直す作業が必要になる。往復の配送やシール貼り作業のコストを考慮すると、回収されたまま書店に戻らず絶版になる書籍が多数出る恐れがあるとの危機感が関係者の間で共有されている。

 作家では、綾辻行人氏が「普通に考えて、この国から『紙の本』がどんどん消えていく未来しか見えません。それが『望ましい未来』であるとは私には決して思えない」と訴えている。このほか、似鳥鶏氏は「出版業界に緊急事態が発生しています。これを通されたら小さい出版社はのきなみ潰れ、ちょっとマニアックな本はぜんぶ消滅します」とコメント。近藤史恵氏は「私は消費税がカバーに印刷された時期も知ってるけど、本当にたくさんの本が手に入らなくなって、絶版を余儀なくされたんですよ……消費税さえなければ生き残れたはずの本が」と読者の立場で投稿。同じように作家の小森健太朗氏も「30年前消費税が導入されたとき、角川文庫から出ていた日本ミステリがゴッソリ消えたことがあって、鮎川哲也全部、泡坂妻夫全部、横溝正史の金田一耕助もの以外、高木彬光も大部分? ちょうどその頃、角川文庫で日本ミステリをよく読んでいた頃だったのに新刊が一挙に消されて途方にくれた(中略)あのとき読みたいミステリ文庫を読めなくされたのは、日本で私以外にも大勢いたはずなので、あれは一種の文化断絶みたいなものと呼べる事態だったと思います」と経験に基づいて警鐘を鳴らす。

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