[文谷数重]【「沖縄基地問題」安倍首相、次の一手は?】~米・海兵隊国外撤退という選択~
Japan In-depth / 2015年4月17日 23時15分
安倍首相は翁長知事との会談で何を得たのだろうか?首相は、県知事から何の同意も得られなかった。危険除去や振興策を示したが、県知事には拒絶されている。「沖縄は自ら基地を提供したということは一度もございません」と、原因も結果も一方的な行為の結果であり、中央政府の振興策は恩恵でなはないと切って捨てられた。
対して、県知事は首相に明確にNoを突きつけた。知事は絶対に辺野古に基地は作らせないと明言している。代替案を示せといった従来の論法も拒否した。もちろん、代替案は拒絶された側、すなわち中央政府が示すものであって、拒絶している沖縄県が示すものではない。
この会談で、状況を改善したのは県知事である。政府が県にYesと言わせたいこと、そしてそのためには今以上の譲歩が必要であることも明らかになったためだ。そして、首相は中長期的な立場を悪化させた。短期的には米政府への言い訳を手に入れたが、県にYesを求めるためのカードを全て失ってしまったためだ。振興策や、県が使う言い訳として準備した「危険除去」「代替案」が無効化した以上、今後、県に示せるカードはない。
■ 手詰まりな政府
これで、政府は完全に手詰まりとなってしまった。状況を改善する手段はなくなったためだ。今後を考えれば今以上の困難が待ち受けている。まず、現段階でもいまだに調査工事は終わっていない。今後は本工事が待っており、その際にはこれまで以上の反対行動が待っている。
さらに今回の会談で、辺野古反対が県と県民の意志であること印象づけられてしまった。これは現地での積極的な、あるいは県民各個人での消極的な反対を勢いづけるものである。力押しは危険である。委任事務を取り上げての強硬実施は、逆に「万策つきた」と県知事・市長の実力行動を促す危険性は高い。
現段階でも民対民の工事ではありえない過剰警備となっている。仮に誰か死んだら殉職者となってしまい、それこそ政府は手が付けられなくなってしまうだろう。また、その場合は、米政府が日本政府の面子を潰す形で掌を返すことになるだろう。
■ 安全保障上必要な物はなにか
今後、政府側ができることは何だろうか?それは、沖縄と日米政府で妥協できる選択肢を探すことである。もちろん、拒否された普天間残置や辺野古新設とは違う選択肢でなければならない。
現段階では、政府は沖縄が呑める代替案を準備できていない。これは、従来基地残置か、基地新設かといった二分法に囚われているためである。この点、安全保障で本当に必要なものは何かについて、政府は最初からから考えなおすべきだろう。
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