[俵かおり] 【エチオピア人が愛して止まない主食“インジェラ”】~生産効率良い穀物への代替も望まれる~
Japan In-depth / 2015年6月19日 23時0分
エチオピア人は何を食べているのか、とよく聞かれる。主食はグレー色のクレープのような形のインジェラ(Injera)。イネ科の穀物 “テフ” を引いて粉にし、それを水で溶いて発酵させ、薄く伸ばして焼いて作る。食べるときは、この上にドロワットと呼ばれる鶏肉の煮込みシチューのようなものや、野菜サラダ、レンズ豆の煮たものなどを乗せ、手を使ってインジェラでこれらの具をまくようにして食べる。食べ終わると、手はドロドロになっている。
このインジェラ、発酵させてあるため、少し酸味があり、鉄分も豊富。食感は少しもちもちしている。1枚半径25—30センチほどだが、食べ終わるとかなりの満腹感がある。グレーの色とべらっとした形から、日本では口の悪い人はこのインジェラを“ぬれ雑巾”と呼ぶ人もいる。(確かに、そう見えるのも事実)
ここエチオピアに住んでいても、欧米人のなかには、「手で食べる」という行為を受け入れられない人もいて、ナイフとフォークでインジェラを食べる光景を目にしたこともある。けれどもアフリカでは多くの国で手で食べるし、インドなど南アジアでも手で食べる。日本でも寿司は手で食べる。手で食べるということは世界の中では意外と広く行われている行為だ。
インジェラの歴史は古く、紀元前100年にはすでに存在していた、ともされている。エチオピア人はこのインジェラが大好きで、毎日、朝にも昼でも夜でも食べる。外国人である私たちは、毎日食べてよく飽きないなあと感心してしまうほどだ。そしてエチオピア人はこのインジェラに誇りを持っており、エチオピア人と知り合うと、必ず「インジェラは好きか?」と聞かれる。「はい」と答えると(決して「いいえ」とは言えない雰囲気)、「そうか、そうか」と、とても嬉しそうにうなずく。自分たちの愛するインジェラが外国人にも好まれる、認められる、ということが嬉しいのだ。
エチオピア人はインジェラで大満足している半面、食に対しては他国では例を見ないほど非常に保守的だ。外国で暮らしたことのあるごく少数のエチオピア人以外、他の国の食べ物を食べようとしない。(その例外はパスタ。パスタは第二次世界大戦中、イタリアによる占領時期にかなり広まった)
その理由をエチオピア人に聞いたことがある。エチオピアはずっと貧しく、他の食べ物を知る機会がほとんどなかった。日本のように他の食文化を取り入れるという余裕はとてもなかった。そしてそもそも、海がない国なので食べ物が限られているため、他の食文化に対して閉鎖的になりやすい。そして、エチオピア自体が非常に文化的にオープンでない国民性である、などなど。この説明にとても納得した。
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