1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

[西田亮介]【社会の良識がこの本を淘汰することを望む】~普通の人が意図せず『絶歌』に接触しないように~

Japan In-depth / 2015年6月30日 18時0分

前半には極めて残虐な描写がありながら(このケースは、この設定で出版される以上フィクションとはいえまい)、後半以後平板な更正譚に落ち着く、いささか不自然で奇妙な構成と内容について詳しく論評する気はおきない。

とはいえ、それでも、このような書籍でさえも、内容によって規制されるべきかと問われれば、疑問を呈すほかないのかもしれない。そもそも「書籍」というパッケージについて規制することはできたとして、たとえばネットで、全文を公開してしまえば、その行為を取り締まることは極めて困難だからである。信ぴょう性はさておき、話題になり、そのうちマスメディアが取り上げたことだろう。

研究者やジャーナリスト、政策担当者などが何らかの理由で資料を必要とすることもありえるかもしれない。結局、規制の強化は労多くして(というか、実害が多い一方で)、実りが少ないのではないか。いざ、誰かが本気で情報にアクセスしようとすれば、その断片には辿り着くことができてしまう。流通の変化はアクセスできる範囲を格段に広げている。

社会のなかで、できれば規制強化に頼らず、社会の良識と、それを受けた市場のちからで、速やかに淘汰され、実質的にふつうの人が本書にアクセスしなくて済む時期が来ることを望む。それほどに、専門家をのぞいて、意図しない接触が起きないことを望むに十分な内容の書籍であると思う。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください