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[上田令子]【都推進「家庭“的”養護」に要注意】~施設での児童養護を正当化~

Japan In-depth / 2015年7月4日 8時33分

[上田令子]【都推進「家庭“的”養護」に要注意】~施設での児童養護を正当化~

要保護児童とは、「保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童」をさす。この子ども達は政府・行政、あるいは里親などの家庭、地域といった社会全体で育んでいく。だからこその「社会的養護」と考え、かねてより都議会にて家庭養護の推進を求めてきた。

ことに生後3カ月までに結ばれる特定の養育者との絆は、愛着度が深いと立証されている昨今、赤ちゃんの里親委託は喫緊の課題だ。しかしながら、東京都においては平成24年度、335人の2歳未満の乳幼児のうち里親委託されたのは、1ヶ月以上のゼロ歳児2名、1歳以上2歳未満12名、合計14名だけで、過去三年間1ヶ月未満の赤ちゃんの里親委託はゼロである。

現在日本における、要保護児童数は4.7万人(東京都は約3,600人)。そのうち里親委託は4,500人と僅か10%。東京都もほぼ同率で、以下世界標準と比較し、施設編住型の日本は「政府による社会的ネグレクト」との批判を受けている。※トップ画像参照

ことに新生児~乳幼児の赤ちゃんにおいてはほとんど、迷う余地も無く乳児院という現実がある。27年4月に策定された「東京都社会的養護施策推進計画」7ページ「東京都の社会的養護の体系図」において乳幼児期の部分は家庭養護がすっぽりと抜け落ちているのは問題だ。これまで都議会でも議論が重ねられ、私の平成27年度第一回定例会一般質問 においても「児童養護施設では、グループホームなどの設置により、本体施設の定員を減らした場合に生じた空きスペースを活用し、児童の生活の場を小規模で家庭“的”な養育が行える形態に変更」と答弁している。

ここで注意を払わねばならないのは「家庭養護」と「家庭“的”養護」とでは、似て非なるものであるという点だ。グループホームでは、5~6名の「家庭“的”」な養護をするとはいえ、同一職員が24時間365日関わるわけではない。これでは、乳幼児に不可欠な同一養育者による一対一の愛着関係が築きようもない。施設職員も奮迅しているのは十分承知しているが、施設の人員では夜泣きする赤ちゃんを一人ひとり胸に抱く余裕は無く、本来の家庭養護とは程遠くならざるをえない。

実際に国においての家庭養護の定義は「里親及びファミリーホーム※(上田注:里親家庭で複数の子どもを養育)」としているのに対して、東京都は、「家庭養護」という言葉を使うのを回避して、「養育家庭(里親・養子縁組)等、ファミリーホーム、グループホーム」と、グループホームを入れ込んで「家庭“的”養護」と定義、施設での児童養護を正当化し、政府の目標である家庭養護6割を達成しようとしているのが見てとれる。

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