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[遠藤功治]【グローバル化への脱皮と広報戦略構築が課題】~“キラリと光るダイヤモンドの原石企業” 福井県編「セーレン」3~

Japan In-depth / 2015年7月28日 18時0分

つい最近、海外出張の手続きも国内出張並みに簡素化した、との話があったが、元々国内と海外の出張手続に差があったこと自体がおかしい。小松からなら、鹿児島に行くよりソウルの方が近いであろう。懸案があれば明日の今頃はニューヨークだというスピード感が、特に現在の環境では必要となる。

第4の懸念は株主対策の充実であろうか。必ずしも株価対策に過度に傾注する必要はないが、ある程度、ステークホールダ―である投資家への配慮は必要であろう。多種多様なステークホールダ―のうち、顧客・従業員・調達先・地域社会への還元は、それぞれ非常に十分な会社だと推測出来るが、投資家へのそれはまだまだ不十分だと感じる。

ROEの低さ(昨年度実績8%)、配当性向の低さ(同24%)、投資家への情報提供(面談・説明会など)など、全般的なIR政策が十分な水準とは言えない。6%台の営業利益率はまだまだ改善の余地があり、一方で自己資本比率が60%を超え、現金をやや会社内に貯め過ぎている印象もある。声高の株主が増えて行く中、それを排除するのではなく、うまく取り込むこと、内外にファンを作っていくことが肝要であろう。

最後の点は、そしてこれは、第1から第4までの懸念全般に通じるのだが、鳥瞰図的な広報戦略の導入であろう。これほどユニーク、かつ強力な経営陣を配しながら、この会社は企業広報が下手である。否、殆ど考慮に入れていないとも映る。日本の企業は全般的に広報が下手であり、また広報をただの広告宣伝の一貫などと思っている会社も多いが、大きな間違いである。

広報とは企業のファンを作るプロセスであり、各種ステークホールダ―との相互意思疎通を行うツールであり、何より、有事に対する備えである(別に集団的自衛権の話をしているのではない)。仮にそうならば、広報には戦略が必要であり、それを統括するのは、企業を鳥瞰図のように見渡せるトップである。そういった経営者を有している会社が、必ずしも広報戦略を重要視していないのは残念である。北陸新幹線が福井・敦賀に延伸となるより先に、この広報戦略の確立を、前倒しで推進して頂きたいと、川田会長にはお願いする次第である。

(終わり。本シリーズ3回。
【カネボウを買収した経営者の英断】~“キラリと光るダイヤモンドの原石企業” 福井県編「セーレン」1~
【驚異の微細精密印刷技術、車のシート世界シェア16%】~“キラリと光るダイヤモンドの原石企業”福井県編「セーレン」2~
も合わせてお読みください。)

トップ画像:出典 セーレンfacebook

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