【東電福島第一原発、“水との戦い”にメド】~汚染水対策本格化で廃炉への道筋見えてきた~
Japan In-depth / 2015年9月16日 20時0分
東京電力福島第一原子力発電所のいわゆる汚染水は一体どうなっているのだろうか。この目で実際に見るため、8月末に現地に行き状況を詳しく取材した。その結果を一言でいうと、「水との戦いにメドがついた」ということになる。水とは「汚染水」のこと。放射性物質を含む「汚染水」を減らし、コントロールできれば、作業員の被ばくや環境汚染を減らすことが出来、「廃炉」への道筋が見えてくるのだ。
そうした中、14日、耳慣れない言葉がニュースで流れた。それが「サブドレン(subdrain: 地下排水管)」という言葉だ。東京電力は14日、福島第一原子力発電所1~4号機建屋近くの井戸からくみ上げ、浄化装置で放射性物質を除去した地下水の海洋放出を始めたが、この井戸のことを「サブドレン(subdrain: 暗渠、の意)」と呼ぶ。東電によると、初日のこの日は、昨年8月以降に試験的にくみ上げタンクに貯めている約4000トンのうち、約850トンを港湾に放出した。東電と第三者機関による水質検査では、放射性物質の濃度は基準を満たしていたという。
実はこの「サブドレン」からくみ上げた地下水の放出は、汚染水対策の重要な柱の一つ=「新たな汚染水の発生抑制」に繋がる。地下水は山側から原子炉建屋に向かって流れている。「サブドレン」はすでに実施している山側の地下水汲み上げ=「地下水バイパス」と共に建屋内の高濃度汚染水に地下水が流入しないようにするためのものだ。
さらに、建屋周辺には深さ30メートル、およそ1メートル間隔に打ち込んだ管に冷媒を通し「凍土壁」を作って地下水の流入防止に万全を期している。すでに実証実験は終わっており、技術的課題はクリアされているという。早期の稼働が期待される。加えて、地表からの雨水の浸透を防ぐために、モルタルなどで地表を覆う、「フェーシング(facing)」も進んでいる状況を見ることが出来た。
汚染水対策の第2の柱が、「高濃度汚染水の除去」だ。原子炉を冷やした水は燃料にふれて高濃度汚染水となりタービン建屋に残留している。この高濃度汚染水はセシウム吸着装置を経てタンクに溜められているが、そのタンク貯留の汚染水から放射性物質を取り除く多核種除去設備も、既存設備に加え2つの設備が増設され、その処理能力は2000立法メートル/日以上となった。5月末には、この多核種除去設備を含むいくつかの装置でタンクに貯留している汚染水の浄化をほぼ終えているという。ここまで汚染水対策が進んでいるとの認識は一般の人には浸透していないのではないか。
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