ドナルド・トランプ 最後の暴走 米国のリーダーどう決まる?その23
Japan In-depth / 2016年8月23日 18時0分
大原ケイ(米国在住リテラリー・エージェント)
「アメリカ本音通信」
大統領選挙が行われる11月8日まで80日を切った。はっきり言ってドナルド・トランプが勝てる見込みはほとんどない。もし、トランプが勝てそうなことを報じるメディアがあったなら、それは視聴率稼ぎのガセだと思っていいだろう。
そんなトランプ陣営が最後の悪あがきとして、選挙対策本部長らトップスタッフを入れ替えた。クビになったのは、ポール・マナフォート。彼自身も前回、大統領選挙戦が全くの未経験だった前選対本部長、コーリー・ルワンドウスキーの代わりとして参加し、なんとかトランプを「Pivot(方向転換)」させようと躍起になってきたが、本人もピヴォットしたくない、周りも「Let Trump be Trump(やりたいようにさせておけ)」ということで、共和党の予備選挙を勝ち進んだ「目立った者の勝ち」で戦い続けるだろう。
それだけではなく、このポール・マナフォートという人物、トランプの選挙運動にかかわる前は前ウクライナ大統領ヴィクトル・ヤヌコヴィチのコンサルをしていたことがバレたからだ。アメリカでは外国政府のロビイストとして活動する際には、国内で登録しておかなければその活動はスパイ行為とみなされる可能性がある。政局が悪化してキエフからモスクワに逃亡したヤヌコヴィッチのブレーンだったとすれば、無登録のロビイスト活動であり、FBIが調査に乗り出したところだ。
そうでなくとも、トランプはオバマ大統領を貶す一方で、ロシアのウラジーミル・プーチンを立派なリーダーだと褒めちぎり、共和党内でも胡散臭がられていた。前回のコラムでも言及した通り、トランプの名を冠した国内の不動産にはロシアからの黒いお金が流入しているとされ、トランプは米大統領候補のしきたりである納税記録の公開も拒否しているし、自称ビリオネアどころか、ロシアのオリガーキー(注1)からの借金で首も回らないのが実情だろう。
そんなトランプがマナフォートを見捨て、登用した2人のキーパーソンそれぞれの経歴を見るだけで、今後、11月8日の総選挙に向けてどのような作戦に出るのか予測するのは難しくない。まずはトランプ大統領キャンペーンの”CEO”に選ばれたスティーブン・バノン。選対本部を企業として捉えるのもトランプらしいが、この人物は「ブライトバート・ニュース」という保守派政治ニュースサイトを運営するブライトバート・メディアの会長だ。
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