変われるかギンザ 試される集合知
Japan In-depth / 2017年4月20日 11時47分
安倍宏行(Japan In-depth 編集長・ジャーナリスト)
「編集長の眼」
【まとめ】
・銀座地区でエリア最大の商業施設「GINZA SIX」開業。
・脱百貨店を標ぼう、不動産事業に注力。
・周辺地区との連携や情報発信機能強化が課題。
■圧倒的な規模と「脱百貨店」
20日、銀座にエリア最大の商業施設が誕生する。その名も「GINZA SIX(ギンザシックス)」。もともと老舗デパート松坂屋(注1)があったところだ。銀座中央通りに面する銀座6丁目が名前の由来だ。J.フロントリテイリング、森ビル、L キャタルトン リアルエステート、住友商事の4社が出資したGINZA SIX リテールマネジメントが運営する。
目玉は、このエリア最大規模約47,000㎡の再開発であること、老舗デパート「松坂屋」の名前が消えたことであろう。確かに道路をまたいだ2つの街区約1.4haを一体的に再開発、訪日外国人旅行者を想定した観光バス乗降所も設置され、規模感は誰の目にも明らかだ。
さて2つ目だが、敢えて「GINZA SIX」という名前に変えたことについて、J.フロント リテイリング株式会社の山本良一社長はかつて、「松坂屋跡地の再開発にあたり、百貨店をやらない、という決断を致しました。時代と共に変革を遂げてきた銀座の地において必要なのは、今の百貨店を進化させるのではなく、誰もが見たこともない、新しい商業施設を作ることだと確信しております。」と述べている。
「新百貨店モデル」、「脱百貨店」などと言われるが、241の世界ブランドが出店していることや、6つのラグジュアリーブランドのフラッグシップ店が2~5層の大型メゾネット店舗を構えていることなどを見る限り、従来のデパートと何が違うのかよくわからないというのが正直なところだ。
■森ビルが参画している意味
ただ、本プロジェクトに森ビルが参画していることで、幾つか脱百貨店的な特徴は垣間見ることができる。建物内の巨大な吹き抜けの天井から吊り下げられた前衛芸術家草間彌生氏作の巨大アートは否が応でも目を引くし、日本の伝統文化を発信する文化・交流施設として「観世能楽堂」が地下に設置されたことなどがそれだ。アートを中心とした情報・文化発信機能が都市の魅力につながることを理解し、実践してきた森ビルならではの提案だ。また、非常用発電設備や帰宅困難者3,000名の受け入れに備えた防災備蓄倉庫の整備などにも六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズで磨いた森ビルの防災ノウハウが活きている。
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