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南北経済格差と拉致問題 金王朝解体新書その9

Japan In-depth / 2017年8月4日 18時0分

南北経済格差と拉致問題 金王朝解体新書その9

林信吾(作家・ジャーナリスト)


「林信吾の西方見聞録」


【まとめ】


・日本政府によって拉致被害者と公式に認定されたのは17人。


・南北の経済格差が逆転したことが拉致の源流となっている。


・拉致問題は国家犯罪である。まずは人命優先で解決を。


 


北朝鮮による拉致被害者の総数は不明だが、韓国情報部が、脱北した元工作員の証言などを総合して推計したところによれば、被害者の国籍は14カ国にわたっており、総数は700人を超える可能性があるという。


この数字だけでも驚くべきものだが、国連の人権調査委員会は、3500人近い韓国人が北朝鮮によって「拉致もしくは不当な拘束を受けている」と発表している。


ただ、分断国家であるため、相互に親戚を訪ねることもままならないので、どこまでを不当な拘束と言い得るのかは微妙なところかも知れない。


日本人に話を限ると、政府が公式に拉致被害者と認定したのは17人だが、自ら失踪する理由がまったく見当たらず、前後の状況から拉致の可能性を排除できない、いわゆる特定失踪者は、調査が行われた人だけでも470人を超える。


いくらなんでも400人以上は多すぎるだろう、と思われた向きもあろうが、2000年に帰国した曽我ひとみさんは、拉致被害者と認定されていなかった。こうした人が他にもいるに違いない、と考えるのは、むしろ自然なことではないだろうか。


前にも述べたことだが、北朝鮮が建国された当初、それまで特権的な地位にあった地主や知識人は、共産主義の体制下では生活できないと、多数が韓国に逃れた。


言うまでもないことだが、国家システムを動かして行くためには、高等教育を受けたエリート層が不可欠となる。そこでキム・イルソン(金日成)は、「インテリを連れ戻せ」との指令を発したと伝えられる。


その後ほどなく始まった朝鮮戦争で、多くの家族が南北に分断されたままの状態になったり、戦線が半島の南端近くから北端近くまでローラーのように移動したため、避難する過程で離散してしまった家族も少なくない。インテリ云々の話は、どこかへ行ってしまった。


韓国内で、拉致被害者の救済を求める声が日本ほど高まらないのは、統一さえ実現すれば自然と解消されるに違いないと考えられているからだと、よく言われる。同じ拉致問題でも、日本のそれとは問題の質が違う。


ここで、前回の最後の方に述べた、南北の経済的な力関係がひっくり返りはじめたことが、拉致問題の源流になっているという話に戻さねばならない。


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