「北朝鮮危機は安倍首相の自作自演」朝日の歪んだ報道
Japan In-depth / 2017年10月1日 13時17分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・朝日新聞、「岐路に立つ平和」と題する作家半藤一利氏のインタビュー掲載。
・曰く、「北朝鮮危機は安倍首相の自作自演」であり、「今の日本はヒトラーのドイツと同じ」、「自国の安全だけを大事に考えていては本当の解は得られない」というもの。
・半藤氏の見解を大々的に報じる朝日新聞の思惑は大きく歪んでいる。
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「北朝鮮危機は安倍晋三首相の自作自演だ」「いまの日本はヒトラーのドイツと同じ」――という趣旨の極端な世界観や歴史観が朝日新聞9月29日朝刊で1ページのほぼすべてを使って紹介された。ひどく偏向したこの意見は歴史作家の半藤一利氏によって表明された。
北朝鮮の核兵器や弾道ミサイルの脅威に直面する日本が危機を訴えることが「自作自演」であり、北朝鮮と対話しないことがヒトラーのドイツとの同盟に等しいというのだから、実態からかけ離れた政治的な断定だともいえるだろう。
▲写真 国連総会で演説する安倍首相 2017年9月22日 出典:首相官邸
このゆがんだ認識は朝日新聞同日のオピニオン&フォーラムというページに「岐路に立つ平和」とのタイトルで、「『国難』は自作自演 勇ましい首相発言 和平壊した過去も」という見出しの長文のインタビュー記事で大々的に伝えられた。語り手は反安倍政権の言辞で知られる昭和史作家の半藤一利氏で、全体のトーンはいまの日本の平和を壊すのは北朝鮮ではなく、安倍首相だと読み取れる基調で一貫している。
まず以下のような記述があった。
≪(安倍首相は)国難といって現在、最大の問題は北朝鮮情勢でしょうが、これはご自分でつくっていませんか。自作自演の危機ではないか、と申し上げたい。≫
北朝鮮の危機は事実ではなく、安倍首相がつくりあげている、というのだ。「自作自演」とは実際には存在しないことをでっちあげて、事実であるかのように偽り、他者をだますことである。北朝鮮の核武装のための再三の核爆発実験も、日本の方角に向けて、これまた再三、発射される弾道ミサイルも、安倍首相のでっちあげ、だというのか。この80代なかばの歴史作家は本当に朝日新聞の掲載どおりの言葉を述べたのだろうかと、いぶかりたくなる。
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