ガラパゴスな日本版GPS衛星
Japan In-depth / 2017年10月9日 23時0分
文谷数重(軍事専門誌ライター)
【まとめ】
・日本独自のナビゲーション衛星「みちびき」が9月10日打ち上げられる。センチ誤差が実現できる。
・日本周辺でしか使えないシステム受信機は誰も商品化しようとしない為、「みちびき」は普及しない。
・使いもしない「みちびき」事業に投資することは、宇宙開発セクターが儲ける錬金術ではないか。
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10日「みちびき4号機」が打ち上げられる。三菱重工とJAXAのプレスリリースによると10日午前7時10分打ち上げとされている。
▲写真 「みちびき4号機」高さ6.5m、幅2.8m、太陽電池パドル展開時の差し渡し19m。機体質量は約1.6トン、打ち上げ質量約4.0トン。 出典:「みんなのみちびき」
「みちびき」は日本自前のナビゲーション衛星である。準天頂衛星と呼ばれるように、日本列島のほぼ真上からサービスできる特徴がある。それにより都市部や山間部でGPSが使えなくなる不便を解消できるとされている。もう一つが測位補強データ(L-6信号)を利用したセンチ誤差の実現である。それにより今後の自動運転や測量等に寄与するものとされている。
▲図 準天頂軌道 出典:内閣府「みちびき(準天頂衛星システム)」
だが、本当に「みちびき」は役立つのだろうか?
お金の無駄遣いでしかない。そのオリジナルの機能は誰も利用しないし、準天頂衛星そのものも今では無意味となったからだ。
▲写真 「みちびき4号機」を打ち上げるH-IIAロケット36号機 第1段機体に固体ロケットブースター(SRB-A)結合。2017年9月13日、14日 出典:三菱重工HP
「みちびき」はガラパゴス過ぎて誰も使わない。特徴となるL6信号による精密測地システムは汎用性がないので普及しない。日本附近でしか使えない独自システムは世界商品には組み込まれないためだ。
高精度の売りとなるセンチメートル単位の測地も活用されない。自動運転のほかは光学等の周辺認識を主要するため必要としないので実用途はない。その上、日本でしか使えないシステムへの投資はないからだ。
■ アメリカ市場向けに「みちびき」対応はいらない
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