ナチスの戦争犯罪と死刑廃止論 昭和の戦争・平成の戦争 その7
Japan In-depth / 2018年10月3日 10時57分
林信吾(作家・ジャーナリスト)
林信吾の「西方見聞録」
【まとめ】
・日本の死刑制度は国際的批判を受けかねない。
・欧米は第2次大戦後、死刑を廃止。
・日本人が、昭和の戦争から学ぶべきことはまだ多い。
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今年7月、教祖・浅原彰晃こと松本智津夫はじめ、死刑が確定していた13人のオウム真理教教団幹部が、刑場の露と消えた。
私はかねてから、死刑廃止論者であることを公言してきている。
理由は、警察や裁判所に絶対の信頼を置くことができないので、無実の人が死刑を宣告されてしまう可能性を完全に排除できない以上は、システムとしての死刑自体を廃止すべきだということだ。ただし、現行の日本の法制度では死刑を認めており、世論調査でも死刑存続を支持する声が強い。だからと言って自分の意見を変えるつもりはないが、法律や世論は尊重しなければならないので、個別具体的な事件について、死刑反対を唱えたことはない。
ただ、今次のオウム真理教幹部に対する死刑執行については、知り合いの司法関係者とだけ述べておくが、聞き捨てならない話を耳にした。今春から法務省の上層部では、「やるなら(執行するなら)今しかない」という声が上がっていた、というのである。
どういうことかと言うと、来年、ご案内の通り平成が終わる。新天皇の即位に伴って大赦も検討されているのだが、そうなると一方では刑期を短縮してもらえる囚人がいて、他方では死刑が執行されると、法の下における平等、という概念に照らしてどうなのか、という議論が起きてきそうだ。
さらに1年延ばしたなら、今度は東京五輪の開催年になってしまい、祝賀ムードに水を差すばかりか、世界には日本が死刑制度を維持していることに批判的な国も多いので、国際的批判を受けかねない。
▲写真 東京拘置所 出典:PekePON
……これ以上、多くを語るまでもないであろう。たとえ凶悪殺人犯、無差別テロで多くの人命を奪った集団であろうとも、そんな理由で人の命を奪う権限を、国家に与えておいてよいものだろうか。
(戦争の話じゃなかったの?)
と思われた読者もおられようが、ここでひとつ知って戴きたいのは、ヨーロッパ諸国が相次いで死刑を廃止したのは第2次世界大戦後のことで、そうなった理由はナチスによる数々の残虐行為に求められる、ということだ。
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