ゴーン後の日産、次の一手は?
Japan In-depth / 2018年11月26日 10時47分
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
「編集長の眼」
【まとめ】
・有価証券報告書虚偽記載罪、そもそも成立するかとの声。
・クーデターはルノーとの資本構成への不満等が原因。
・3社アライアンスは維持し、政府巻き込んだ争いやめよ。
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ゴーン容疑者は、東京地検特捜部の取り調べに対し、「有価証券報告書に自らの報酬を少なく記載する意図はなかった」などと容疑を否認しているという。逮捕直後に書いた記事で指摘したが、ゴーン容疑者は法律違反をしていたとの認識はなかったと思う。日本人には巨額報酬に見えるだろうが、世界のトップ企業の経営者の報酬としてはさして高い方ではない。さまざまな便宜供与は当然の権利だと思っていただろう。
報酬以外に私的な目的での経費の支出として、世界数カ所における高級住宅の購入資金やインテリアの代金、家賃など、次々と報道されているが、多くの企業が経営者に社宅や車やその他もろもろの便宜を図っている。当然、日産社内で適正に経理処理されていたはずだし、取締役会も知らなかったではすまないだろう。
こうした中、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪がそもそも成立するか、との指摘も出始めた。当然、ゴーン容疑者の弁護人も徹底抗戦の構えだろうし、法廷闘争は一筋縄ではいかなそうだ。
写真)カルロス・ゴーン 2007年東京モーターショー
出典)Nissan Motor Co., Ltd. (Public domain)
■ 日産が置かれている状況
さて、ゴーン会長を解任した日産取締役会だが、今後どのような選択肢があるのか?それを考える前に今の日産が置かれている状況を見てみよう。そこには3つの不満が横たわっている。
①資本関係への不満
現在仏ルノーは日産に約43%出資しているのに対し、日産はルノーの15%の株式しか持っていない。そして仏政府はルノーの株式の15%を保有している。
そもそも今回のゴーン追放ともいえる動きは、仏政府が日産の経営営の関与を強めようとしていることに対する警戒感から発したものだ。何を隠そう、現マクロン大統領がオランド政権下、経済産業相であった2015年に、政府が2年保有している株式の議決権を2倍にする「フロランジュ法」を盾にルノーへの関与を強め、間接的に日産をコントロールしようと試みたのだ。これに猛反発した日産は、日産の持つルノー株を25%まで買い増せば、ルノーの持つ日産株の議決権が消滅するという日本の会社法を持ち出して対抗した。
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