北東アジア情勢は日米関係をどう変えるか その4 日米同盟の重み
Japan In-depth / 2019年9月24日 11時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視 」
【まとめ】
・トランプ大統領は同盟国に応分の負担を求めている。
・日米同盟以外の点では日米の関係は近年最も緊密。
・米国の対日同盟の片務性への不満は超党派で高まりつつある。
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米国は中国との対立を強めてきた。北朝鮮には非核化を交渉しながらも警戒を保つ。韓国とは同盟を維持しつつも不信をちらつかせる。米国の北東アジアへの現在の構えはこう特徴づけられるだろう。となると、米国が日本に頼る度合いを高めるのは自明である。
トランプ政権が6月に発表した「インド太平洋戦略」も日米同盟こそがこの地域全体の平和と安定の「礎石」だと明記していた。中国を「修正主義の挑戦者」と、北朝鮮を「無法国家」と断じたうえでの日本との絆の最重視の宣言だった。
トランプ大統領はツイッターで同盟諸国への辛辣な批判も表明する。その批判は「同大統領は対外関与を減らしたいのだ」という観測を生む。だが現実にはその批判は同盟の負担配分に対してであり、北東アジアへの関与は増大している。
同大統領が今年1月に署名した「アジア再保証イニシアティブ法」も北東アジアの平和と安定を防衛するため中国の軍事膨張や威嚇外交などを抑える関与と抑止の継続を米国政府の責務として誓約していた。
同時にトランプ政権は「強いアメリカ」政策の下、国防予算を記録的に増額し、主要部分を北東アジアの軍事力強化に向けている。今年の国防予算が約7000億ドル、年間の増額部分だけでも日本の防衛費総額の二倍近い。
▲写真 指揮変更式でのトランプ大統領 出典:NAVY LIVE
トランプ政権の実際の動向を読むには、このような政権としての具体的な法律や政策、予算措置をまずみることが欠かせないのだ。
この現状でのトランプ、安倍両政権下の日米関係は近年でも最も緊密だといえる。トランプ政権は尖閣諸島も含めて日本への防衛誓約を強調する。対立案件だった貿易問題も合意に達し、両国間の表面での摩擦要因はみな解消されたようにみえる。
米国の国政全体でも日米同盟の堅持は共和、民主両党に共通する対外政策の基盤のひとつである。米国一般でも日本への友好や親近の心情はきわめて強い。
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