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高松丸亀商店街「まちを縮める」(上)

Japan In-depth / 2019年10月4日 18時0分

高松丸亀商店街「まちを縮める」(上)


出町譲(経済ジャーナリスト・作家、テレビ朝日報道局勤務)


 


【まとめ】


・高松丸亀町商店街は商店街をSCに見立て居住者を取り戻した。


・瀬戸大橋の完成で大手スーパーが四国に進出で売上は1/3に減少。


・地権者と危機感を共有し、商店街の再開発を実施。


【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトでお読みください。】


 


全国いたるところで、シャッター街を見かける。かつては賑わっていたのだろう。しかし、大型店が進出し、客が流れる。人口減少が追い打ちをかけ、人通りが途絶える。売れないなら店を閉じる。


 


まさに今の日本の縮図と言える。時代の流れで、しかたがないと諦めるべきなのか。いやそうではない。危機感を抱き、行動に移せば結果を出せる。それを証明した商店街が香川県高松市の中心街にある。高松丸亀町商店街だ。古川康造は、高松丸亀町振興組合理事長として、再生の旗を振った。


 


成果となって現れる。売り上げは3倍近く。固定資産税の納税額は、再開発前の9倍となる。「税収の確保」を前面に打ち出した。


 


しかし、古川は楽観していない。「大型店との戦いは決して甘くはありません。お客さんの支持を失ったら商店街はおしまいです」。商店街全体を大型ショッピングセンターのように見立て、正面突破を図る戦略だ。


 


香川県は人口100万人を下回っているが、イオンなどの商業施設は5つもある。小さな湖に巨大なクジラが5頭泳いでいる感じだ。商店街はいかにして戦ってきたのか。


 


私の目に飛び込んできたのは、巨大なガラス張りの円形ドームだった。高さは33メートルだ。およそ9階建てのビルに相当する。日差しが降り注ぎ、明るい。何より驚くのは、平日にもかかわらず、人通りが多い。ドームの下には広場がある。年間200日以上のイベントが行われている。市民、企業、行政に貸し出される。結婚式やファッションショー、さらには立ち飲み会場などイベントが目白押しだ。


 


ショッピングセンターがそのまま商店街に場所を移したようだ。通りを歩くだけでは見えないが、再開発されたビルのテナントの上には、マンションがある。


 


つまり、住民が住んでいることが最大の特徴だ。「客を取り戻すのではありません。居住者を取り戻すのです」。それこそが、丸亀町の流儀だ。今では、人でごった返しているが、かつては閑古鳥が鳴いていた。


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