「表現の不自由展」米のケース

Japan In-depth / 2019年10月18日 23時0分

「表現の不自由展」米のケース


島田洋一(福井県立大学教授)


「島田洋一の国際政治力」


【まとめ】


・「表現の不自由展」は安全地帯での覚悟なき玩弄。表現の自由は侵されず。


・米国でも「表現」で一大騒動。NY市長助成金カットと立ち退き要求。


・中国、韓国はもちろん、米国でも「表現」によっては日本より遥かに厳しい。


 


10月14日、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の「表現の不自由展・その後」が、突然の中止、「不自由な」限定再開を経て、会期終了と共に閉幕した。


主流メディアの多くは、最も問題視された、昭和天皇の写真を焼き文字通り踏みにじる映像については触れず、もっぱら慰安婦少女像が不寛容な勢力に攻撃されたかの如き「表現の不自由」を体現したような報道を続けた。



▲画像 大浦信之氏「遠近を抱えて」(左)、キム・ソンギョン/キム・ウンソン「平和の少女像」(右) 出典:「表現の不自由展・その後」 出展作家より


主催者である大村秀章愛知県知事と津田大介芸術監督の責任について、「企画アドバイザー」だった東浩紀氏が、当事者として的確に指摘している。


「『表現の自由』vs『検閲とテロ』という構図は、津田さんと大村知事が作り出した偽の問題だと考えています。…今回『表現の不自由展』が展示中止に追い込まれた中心的な理由は、…天皇作品に向けられた一般市民の広範な抗議の声にあります。津田さんはここに真摯に向かい合っていません」



▲写真 「企画アドバイザー」を務めた東浩紀氏 出典:東浩紀ツイッター


今回、表現の自由は、常識的意味において、何ら侵されていない。せいぜい、税金の補助を受ける対象から排除されただけである。問題となった一連の「作品」群は、破壊も没収もされておらず、民間の場に移せばいくらでも再展示できる。写真や動画のネット拡散により、むしろ当事者の予想以上に多くの人が「表現」の実態に接した。


これが中国で、毛沢東の写真を焼く映像を展示したのだとしたら、関係者は既にすべて獄中、ネット拡散した者も国家安全部に拘束され拷問という展開になっていただろう。


あるいは韓国で、慰安婦の写真を焼いて踏みにじるパフォーマンスをしたなら、やはり関係者は、元慰安婦が共同生活を送る「ナヌムの家」で土下座謝罪の上、何らかの罪状を付けられ服役となったろう。


「テロ脅迫」に責任転嫁を図った大村、津田両氏の行為は、日本という安全地帯における、覚悟を欠いた「表現」の玩弄に過ぎなかった。


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