韓国GSOMIA離脱不可避
Japan In-depth / 2019年11月22日 11時0分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2019#47」
2019年11月18-24日
【まとめ】
・韓国GSOMIA離脱のデッドライン、11月23日に迫る。
・アメリカ政府高官、今更ながら韓国に必至の離脱撤回要請。
・トランプ氏が文大統領に圧力かけた兆し見えず。
今週の原稿は2019年の47回目、今年も、もう5週間しかないのか。時の経つのは実に早いものだ。これと同様、世界中で起きている紛争や混乱も、以前よりずっと速く進展、もしくは悪化するようになった気がする。IT革命により、情報(特に悪い情報)はあっという間に世界一周するからだろう。
先週のハイライトは、日本では専ら日韓GSOMIAだった。デッドラインが11月23日に迫る中、多数の米国務省、国防総省の高官がやたらと韓国を訪問したり、韓国要人と会談したりして、必死でGSOMIA離脱の撤回を要請している、というか圧力を掛けている。筆者に言わせれば、「何を今更」であるが・・・。
よく考えてみてほしい。問題の発端は、例の「タマネギ男」法相のスキャンダルが吹き荒れた8月下旬、文在寅大統領が最側近の意見だけを取り入れ、韓国外交国防関係者の反対にも関わらず、日韓GSOMIA終了の決断を下したことだ。つまり問題は大統領本人であり、次官補や国防長官が圧力を掛けても効果は薄いのである。
しかも、あれだけアカラサマな圧力を受ければ、文大統領だって譲歩したくても、譲歩できなくなる。それが韓国国内政治の実態だろう。要するに、米国がこの問題を本当に解決したいのであれば、もっともっと前から、大統領レベルかつ水面下で、強力な圧力を文氏に掛ける必要があった。トランプ氏がそれを実行した形跡はないが。
そもそも、今の大統領にそのような「高度な交渉」を期待するのは無理だろう。米大統領が動かない状況の下で、国防長官が如何に頑張っても、韓国内政は動かないのではないか。あと数日内に文大統領が8月末の決定を撤回する度量があれば、多くの日本人は同大統領を見直すかもしれない。だが、恐らくそれは無理だと思う。
▲写真 文大統領 出典:韓国大統領府
先週のもう一つのハイライトは米下院情報委。従来の大統領弾劾調査の秘密会を公開形式に切り替え、在ウクライナ米国臨時代理大使と国務省の元ウクライナ担当次官補代理がテレビカメラの前で、米国の現職大統領が軍事援助供与と引き換えに自己の政敵に対する収賄捜査をウクライナ大統領に要請したと証言した。
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