金正恩、米に敵視政策撤回強要
Japan In-depth / 2019年11月22日 12時36分
コリア国際研究所所長 朴斗鎮
【まとめ】
・米、合同空軍演習の延期は非核化に向けた政治的努力と説明。
・北朝鮮はさらに敵視政策の撤回を要求。
・金委員長は選挙敗北・弾劾調査中のトランプ大統領に強気の姿勢。
トランプ大統領は、「米韓合同空軍演習」を非難する「北朝鮮国務委員会報道官談話」(11月13日)を受け、すでに11月中旬と決まっていた「合同空軍演習」の「調整」を指示した。エスパー米国防長官は、韓国に向かう途中、立ち寄り先の米西部ワシントン州の基地で11月13日、記者団に対し、北朝鮮の非核化に向けた外交交渉を促進させるため、米韓合同軍事演習の実施規模を「調整」する用意があると表明した。国防総省のイーストバーン報道官が6日に、「北朝鮮が反発したからといって演習を調整することはない」と述べていたことから一歩後退した形だ。
写真)エスパー国防長官
出典)U.S. AIR FORCE
北朝鮮はこれで米国が譲歩し始めたと判断し、17日の外務省報道官談話でさらに要求を強めた。談話で北朝鮮は「数日前までは、米国が南朝鮮(韓国)と合同軍事演習を調整する意思を示したことに対し、前向きな姿勢の一環とみるために努力した」としながら、しかし、「今回も反共和国『人権決議』が採択されたことをみて、米国がわが制度を突き崩そうとする夢を捨てずにいることを改めて明確に確認した。われわれはこうした相手とはこれ以上向き合う意欲がない」と、対北朝鮮国連人権決議を口実にトランプ大統領に対する圧迫を強めた。
そして米朝対話が開かれるとしても米国の北朝鮮に対する「敵視政策」の撤回が議題にならないかぎり核問題の協議はできない」と釘を刺した。人権決議とは11月14日に国連総会第3委員会(人権)で北朝鮮の人権状況を非難する決議案を採択したことを指すとみられる。
1)「米韓合同空軍訓練」延期の表明も北は一蹴
北朝鮮が17日の外務省報道官談話でトランプ政権を強く非難すると、米国側はさらなる譲歩を行った。11月17日、タイ・バンコクで開かれた韓米国防相会談後、エスパー米国防長官は「両国の国防当局が緊密に協議し、慎重に検討した結果、今月の訓練を延期することで合意した」と発表した。
また、「両国のこうした決定は外交的努力と平和を促進する環境をつくるための善意の措置」と強調。延期については米朝による非核化に向けた外交交渉を後押しするための「譲歩ではなく政治的努力だ」と説明した。エスパー長官が延期を「譲歩ではなく政治的努力だ」と説明したが、この措置は「譲歩」以外の何物でもない。トランプ政権関係者によると、この合同軍事演習の突然の延期は、「実務陣の反対を押し切ったトランプ米大統領の決定」によるものという。
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