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仏、多文化共生ストレスの現実

Japan In-depth / 2019年12月20日 19時0分

仏、多文化共生ストレスの現実


Ulala(ライター・ブロガー)


「フランス Ulala の視点」


【まとめ】


・フランスへの難民や亡命者は語学学習を通じ、社会の規律も学ぶ。


・彼らを支える一般の教師らには大きな負担になっている現状がある。


・より厳格社会の日本は、外国人を受け入れるストレスに対応できるか。


 


以前、大学のフランス語コースに入る直前の28歳の女性、キャリーンにインタビューしたことがある。彼女はイランで法律を学び弁護士資格を取得し、トルコに6年住み博士号を取得した。しかし、イランでは女性が弁護士で働くのは難しいと言う理由で亡命という形でフランスに来た。


その後もキャリーンに対し継続的にインタビューをおこなっていく上で、今回、彼女が通っているフランス語コースの教師からも話を聞くことができた。


そこには、キャリーンの描く夢のような生活とは違い、フランスの文化を理解しない外国人をなんとか理解させようとするフランス人教師の苦悩の世界が広がっていたのだ。


あくまでも、何度か接触し、信頼を築いた上で語ってくれた本音トークであり、決してフランス公式の見解ではない。実際あった一つの体験談として、難民や亡命者にかかわる現場の現状を、匿名を条件に聞かせていただいた。


 


■ 希望と現実のはざま


キャリーンは、コースが始まってから一週間たった後にクラスに入ってきたという。大学内のフランス語コースにも難民や亡命者に対しての受け入れ枠があり、彼女が希望したところ、ちょうど枠が空いて入れたようだ。


彼女はすでに一年間フランスに滞在し、会話はある程度できたため、DELF B1のクラスに入った。しかし、授業が始まると、フランスに対する知識も足りない上、基本的な文法も知らないことが多く、文章も少し書けるか書けないかの状態だったので、実際はA2のクラスに入るべきであったとキャリーンを受け持った教師が語る。


DELFというのは、フランス国民教育省認定フランス語資格試験で、DELF(A1、A2、B1、B2)・DALF(C1、C2)の6つのレベルごとにテストが用意されている試験だ。それぞれのレベルごとに聞き取り、読解、文章作成、口頭表現(面接)の4つの能力が評価される。


レベルA1、A2はほんの初級で、B1である程度の文章が書ける中学卒業レベル。レベルB2がフランスで独り立ちして生きて行けるレベルで高校卒業程度とされている。レベルC1以上が大学の文系学部、もしくは修士(Master)課程に必要とされている基準である。このレベル基準は、欧州評議会により、ヨーロッパの主要な言語に対し設定されている。


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