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中韓、北非核化で安倍首相引き寄せ

Japan In-depth / 2019年12月26日 13時35分

中韓、北非核化で安倍首相引き寄せ


古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)


「古森義久の内外透視」


【まとめ】


・中韓両国首脳は北朝鮮問題解決に「対話」強調。安倍首相反論せず。


・中国は、北朝鮮への経済制裁を継続する米を批判。


・中韓の強い姿勢に、安倍首相も「対話路線」へ同意した印象残した。


 


今回の日中韓首脳会談では北朝鮮の非核化に関して北への融和的な姿勢をとる中韓両国が安倍晋三首相をアメリカの主張から引き離すことに成功したといえる。中韓両国首脳は北朝鮮との「対話」だけを強調し、アメリカのトランプ政権の北への「最大圧力」を否定する結果となったのに対して、安倍首相はあえて反論しなかったからである。


中国四川州の成都で12月24日に開かれた中国、日本、韓国の3国首脳会談では北朝鮮の核兵器開発を防ぐ「非核化問題」も主要議題となった。会談後の共同発表では中国の李克強首相は「対話と交渉が朝鮮半島の問題を解決する唯一の方法だという点で(中日韓3首脳の意見が)一致した」と述べた。


韓国の文在寅大統領も「朝鮮半島非核化へ3国が緊密な協力を図る」と語った。一方、安倍首相は「完全な非核化への米朝プロセスを後押しする立場を確認した」と述べたが、あえて李首相の「対話だけ」の強調への不同意は表明しなかった。


ところが李首相の言明は北朝鮮の非核化に関して、最近、軍事力誇示への復帰を示唆する北朝鮮への警告のように響きながらも、その主体はアメリカに向けられていることが明白だった。トランプ政権は北朝鮮への経済制裁の継続という「最大圧力」をかけ続け、さらにその背後に軍事手段のオプションを保っている。対話や交渉だけという方法には明確に反対しているわけだ。



▲画像 文在寅大統領・李克強国務院総理・安倍首相 出典: 首相官邸HP


中国はこのトランプ政権の政策に反対を表明し、もっぱら「対話だけ」の解決法を主張してきた。同時に中国はアメリカや国連の対北朝鮮の経済制裁の解除や緩和を一貫して求めてきた。だから李首相の言明も実態としてはトランプ政権の「圧力」の手法への反対の繰り返しだったのだ。


安倍首相が国連決議に言及したことは北朝鮮の核開発や長距離ミサイル実験への国連の反対や制裁を意味し、さらに「米朝プロセス」への言及とともに、遠回しのアメリカの政策への賛意とも受け取れた。


だが李首相の「対話と交渉だけ」という強調の後では安倍首相自身も「対話路線」への同意を示した印象となってしまった。安倍首相は北朝鮮への「圧力」とか「制裁」という言葉は今回は使っていなかったから、なおさらその印象を強くなる。


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