コロナ・経済対策に集中を【菅政権に問う】
Japan In-depth / 2020年10月17日 11時23分
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
【まとめ】
・菅内閣発足1ヶ月、矢継ぎ早に施策を打ち出す菅首相。
・携帯料金値下げに動く大手3社、ハンコ廃止など行革も動き出した。
・一方で日本学術会議問題、中曽根元総理の葬儀問題などで批判も。
菅内閣発足1ヶ月となった。
まだ1ヶ月か、と思うほど、矢継ぎ早に様々な施策を打ち出している。
「携帯電話料金引き下げ」、「デジタル庁創設」、「不妊治療への公的支援拡大」の“3大スガ案件”プラス「行政改革」、「地銀再編」などの政策を半ば「公約」としてぶち上げた菅首相、「携帯電話料金引き下げ」では、既にソフトバンクやauが新たな携帯料金プランの導入で最終調整に入っている。無論、docomoも追随するだろう。早速、実績を示せそうだ。
「行政改革」では河野太郎行革相が「ハンコ廃止」に始まり、聖域無くあらゆる行政のムダを平井卓也デジタル改革担当相と二人三脚で省いていく勢いだ。内閣支持率はまあまあだが、政権発足1ヶ月で評価するにはまだ早すぎる。それに、すでに筆者が首をかしげたくなるいくつかの点がある。
▲写真 河野太郎行革相 出典:自民党
■ 携帯値下げは正しいのか?
まず「携帯電話料金値下げ」だ。今や通信費は電気ガス水道料金と並び、家庭に必須の支出。その負担が減ることに反対する人はいまい。しかし、よくよく考えると自由主義経済において、政府が首を突っ込むのはどう考えてもおかしい。まるで社会主義的産業政策を取っているフランスのようだ。
5Gで他国に遅れを取った日本は、6Gで巻き返しを図らねばならぬはず。その5Gだとて、1年前に買った筆者の5Gスマホは都内でまだ一度も5Gの電波を拾ったことがない。莫大な費用がかかる基地局整備が遅れているからだ。
▲写真 イメージ 出典:ぱくたそ
そうした中、政府の強制的値下げ要請で各社の利益が減ったら、日本の携帯電話産業の国際競争力が削がれることにならないか。そうした懸念は新聞・テレビの論調には見られない。
携帯大手3社がこれまで高い通信費から得られる高収益にあぐらをかき、新規設備投資に遅れを取ったことは大いに反省すべきだろう。しかし、政府のごり押しによって嫌々やる料金値下げで問題は解決しないのではないか。
■ 行政改革の本質は?
役所から「ハンコ」を一掃することには大賛成だが、その前にあの文字だらけのパワーポイントを大量生産する非効率はなんとかならないものか。役所のホームページも見るに堪えない。広報する気があるのかないのか、必要な情報が何処にあるか全く分からない。写真や動画もほとんどないに等しい。あったとしても驚くほど低画質で、引用してほしくないのかと思うほどだ。
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