中国国有企業、相次ぐデフォルトと倒産
Japan In-depth / 2021年7月17日 12時4分
澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)
「澁谷司の東アジアリサーチ」
【まとめ】
・中国経済は概ね右肩下がり、主な理由は「混合所有制」と「第二文革」。
・近年、中国の国有企業はデフォルトと倒産が相次いでいる。
・失業者が簡単に別の分野で働けなくなっており、ますます社会不安が増大するだろう。
2012年11月、習近平政権が誕生して以来、中国経済は概ね右肩下がりである(図表1と図表2、参照のこと)。
▲図表1
▲図表2
その主な理由は
(1)活きの良い民間企業とゾンビまがいの国有企業を合併させる「混合所有制」を導入した。
(2)「改革・開放」の「鄧小平路線」を捨て、「第二文革」(「文化小革命」)を開始したからではないか。
どちらの政策も「国進民退」(国有経済の増強<国有企業の発展>と民有経済の縮小<民間企業の衰退>)を招来した。政府による企業への干渉・介入は、どうしても自由な経済活動を阻害する。
やはり「国退民進」(国有経済の縮小<国有企業の衰退>と民有経済の増強<民間企業の発展>)という方向で民間の活力を利用しなければ、中国経済は成長しないのではないだろうか。
おそらく、その結果だろうが、近年、中国の国有企業はデフォルトと倒産が相次いでいる。
直近では、今年7月9日、国有企業の半導体大手、清華紫光集団は、「債権者の徽商(きしょう)銀行が同集団の破産・再編を進めるよう裁判所(北京市第一中級人民法院、地裁に相当)に申請した」旨の通知を同銀行から受けたことを明らかにした。
この国有企業は清華大学系で1988年に創設された。昨年11月、同集団は最初のデフォルトを、翌12月、3度のデフォルトを起こしたが、結局、倒産した。一時、同集団は他国企業の買収を試みたが、ほとんど失敗に終わっている。
2019年11月、エルピーダメモリ(現・マイクロンメモリジャパン)社長を歴任した坂本幸雄氏が紫光集団の高級副総裁に就任した。それでも、同集団を救う事ができなかった。
現代社会では、半導体があらゆる生産の要となっている。その重大な任務を担っていた紫光集団の倒産は、中国共産党にとっては痛手だったのではないか。
ちなみに、紫光集団の傘下企業には、長江存儲科技(長江ストレージ、YMTC、武漢市)がある。この会社は、世界をリードするメモリー装置ソリューション企業である。
他には、西安紫光国芯半導体(紫光国芯、Unigroup Guoxin)もある。同企業は、2009年に破綻したドイツ半導体大手、キマンダ(ミュンヘン)の西安工場を継承した西安華芯半導体を前身としている。
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