注目集める「循環型ファッション」
Japan In-depth / 2021年8月28日 14時45分
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
Japan In-depth 編集部(坪井恵莉)
【まとめ】
・「循環型ファッション」に注目が集まっている。
・ファッション業界も大量生産・大量廃棄の業態を見直し始めた。
・お茶の水女子大学付属高校では「エシカル消費」についての授業が行われている。
「循環型(サーキュラー)ファッション:circular fashion」という言葉を聞いたことがあるだろうか?文字通り、循環するようにデザインされたファッションを指す。
この言葉を初めて使った、ファッションの持続可能性の問題などを扱うコンサルティング会社、Green Strategy(グリーンストラテジー)の創設者兼オーナーAnna Brismar(アンナ・ブリスマー)氏は、「循環型ファッション」の定義を、「最も価値のある形で、できるだけ長く社会の中で責任を持って効果的に使われ、循環し、今後は人間が使わなくなったら安全に生物圏に戻ることを意図してデザインされ、調達され、生産され、提供された服、靴、アクセサリー」としている。
こうしたコンセプトは、日本ではまだあまりなじみがないかもしれないが、持続可能な社会の実現に向けて各業界で取り組みが始まっている。
国連貿易開発会議によれば、ファッション業界は世界で2番目に汚染を排出する産業だという。問題の根源にあるのは、ファッション業界で主流となっているビジネスモデルにある。低価格で品揃えを目まぐるしく変えることで、消費者に衣服の頻繁な買い替えと廃棄を促す「ファストファッション」の業態によって、需要量を大幅に上回る衣服が市場に供給されている。
衣服の製造には、私たちが想像する以上に多くの資源が使われている。環境省によれば、服1着を製造するために排出されるCO2は約25.5kg、使用される水資源は約2300ℓ(浴槽約11杯分)にも上る。
▲図 生産時における産業全体の環境負荷(原材料調達から店頭に届くまで)
出典:環境省「ファッションと環境の現状」
ファッション業界も手をこまねいているわけではない。こうした大量生産・大量廃棄の業態を見直し、使える衣服を再利用する取り組みが進められている。
■ ファッション業界の取り組み
・古着回収
「H&M」は2013年から古着回収サービスを全世界で展開している。店舗に持ち込まれた衣服は状態に応じて古着として販売されたり、裁断して新たな繊維や断熱材の製造に使用される。ブランドや状態を問わず持ち込めるほか、古着と交換で1袋あたり500円のクーポン券がもらえるなど、消費者にとって利用しやすい仕組みとなっている。「ユニクロ」、「無印良品」、「GAP」などでも同様の回収サービスが行われている。
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