ミャンマー本格的な内戦に突入
Japan In-depth / 2021年9月13日 11時0分
大塚智彦(フリージャーナリスト)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・反政府の「国家統一政府」、国民に軍に対し一斉蜂起呼びかけ。
・反軍政活動をする市民への弾圧でこれまでに1000人超の市民が犠牲に。
・ミン・アウン・フライン国軍司令官の排除、軍政の打倒が反政府組織の最終目標。
2月1日に起きたクーデターで実権を民主政府から奪った軍政による強権的な支配が続くミャンマーで、民主勢力が国民に武器を持って軍と戦うように指示を出したことで本格的な「内戦」状態なっている。
これまで軍政に対抗して民主勢力がアウン・サン・スー・チーさんの与党「国民民主連盟(NLD)」の幹部らがクーデター後に新たに結成した「国家統一政府(NUG)」傘下の国民防衛隊(PDF)が武装市民組織として軍と戦ってきた。
国境周辺では各地の少数民族武装勢力が軍と対決しており、ミャンマーはすでに実質的には「内戦」状態だったといえる。
ところがそうした状況に加えて9月7日にNUGのドゥワ・ラシ・ラー副大統領がオンラインで国民に武器を取って「一斉蜂起」して軍と対決するように呼び掛けたのだった。
ラー副大統領は「軍事政権に対し人民の防衛戦を開始し、軍部のテロリストに反旗を翻し国の隅々で反撃する」「この革命は正義の革命であり、平和な国を作るために必要な革命である」としてPDFをはじめとする武装市民組織、メンバーに「反撃の戦闘開始」を指示したのだった。
これは民主勢力側から軍への「宣戦布告」ととらえられ、実際に7日夜から8日にかけて各地で軍や軍が関連する企業の通信施設、通信塔等など約10か所が爆破などによって破壊される様子がSNSで相次いで伝えらえた。
■ 市民も戦いに備え生活防衛
ラー副大統領はさらに一般市民に対して外出を控え、食料や医薬品など生活必需品を確保するようにも呼びかけた。これにより中心都市ヤンゴンなどではスーパーや商店に市民が詰めかけ食料品などの買いだめをする様子も伝えられた。
ヤンゴン在住の日本人によると「買いだめ騒動は起きていないが、トイレットペーパーや医薬品は確かに品薄状態になっている」とし、市民が生活防衛を行いながら軍への武装抵抗に協力する姿勢を見せているという。
市民生活は表向き平静を保っているものの、街中には各所に軍や警察、さらに市民にまぎれこんだ「ダラン(密告者)」が警戒の目を光らせていることから、緊張を強いられる生活となっているという。
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