コロナワクチン、追加接種早めよ
Japan In-depth / 2021年11月26日 18時0分
上昌広(医療ガバナンス研究所理事長)
「上昌広と福島県浜通り便り」
【まとめ】
・福島県相馬市では、高齢者の抗体価は3ヶ月で低下していると発表した
・米国が8ヶ月と打ち出したのは、冬の本格流行までに、重症化しやすい人の接種を終えるためである
・自治体同士で足並みを揃えずにすぐに追加接種を開始すべきである
「なぜ、コロナワクチンの追加接種を8ヶ月も待たないといけないのか。医学的に合理的な理由はない」
坪倉正治・福島県立医科大学教授は憤る。坪倉教授は、地元の自治体と協力して、福島県内で住民の抗体価の測定を続けている。
10月13日、坪倉教授と共同で調査を進めている相馬市は、コロナワクチン接種を終えた相馬市民500人から採血し、中和活性を測定した結果を発表した。中和活性は、2回目接種から30日未満で2,024 AU/mL,30~90日で753 AU/mL、90日以上で106 AU/mLと急速に低下していた(図1)。
▲図1
相馬市は、医療従事者と高齢者からワクチン接種を開始した。相馬市の医療従事者の数は限られているから、9月1日の段階で、接種終了後90日以上が経過している人の多くは高齢者だ。高齢者は8ヶ月どころか、3ヶ月の段階で抗体価が低下していることがわかる。
これは海外からの報告とも一致する。米ファイザー社は、デルタ株の場合、2回接種から4ヶ月目には感染予防効果は53%まで低下すると報告していし、米モデルナ社も、ワクチン接種後約5ヶ月で、感染予防効果が36%低下したと報告している。
政府が主張するように、2回目接種から8ヶ月以降に追加接種するなら、8ヶ月の段階までは、全員が免疫が維持されていなければならない。勿論、そんなことはない。
米国が8ヶ月と打ち出したのは、冬の本格流行までに、重症化しやすい人の接種を終えるためだ。米国と日本では状況が全く違う。
米国で接種が始まったのは昨年12月。現在、接種を終えている人(58%)の半数が打ち終えたのは4月21日だ。米国は医療従事者、高齢者や持病を有する人から接種をはじめたから、年内にはこのような人たちの接種を終えることになる。
一方、日本で接種が始まったのは2月。医療従事者から始まり、高齢者の接種が本格化するのは5月のゴールデンウィーク明けからだ。日本の高齢化率は28%だ。日本の接種率が30%に達したのは7月31日だから、このころに高齢者の接種を終えていたことになる。それから8ヶ月後に追加接種をするなら、1月から接種を開始し、終えるのは4月だ。
この記事に関連するニュース
-
群馬県民のコロナワクチン接種は平均3・65回 86万回分以上廃棄
毎日新聞 / 2024年4月19日 21時30分
-
欧州や中央アジアで大流行、日本でも感染拡大の「はしか」 治療薬はなくワクチンも不足 感染したら生涯免疫を獲得、まれに2回かかる人も
NEWSポストセブン / 2024年4月17日 11時15分
-
流行危機なのに「麻疹ワクチン」が足りない大問題 武田は自主回収、第一三共・田辺三菱は出荷制限
東洋経済オンライン / 2024年4月11日 11時40分
-
感染が相次ぐ麻疹(はしか)とは? 感染リスクが高い「ワクチン空白世代」は要注意
ウェザーニュース / 2024年3月31日 5時10分
-
それって本当に花粉症!?自己判断が感染を広げる原因に 意外と多い目に症状が出る感染症が今年度も流行!その症状、花粉症ではないかも?!
@Press / 2024年3月27日 11時0分
ランキング
-
1「頂き女子りりちゃん」が詐取の約2500万円受け取ったか 元ホストの男が起訴内容認める
日テレNEWS NNN / 2024年4月23日 22時11分
-
2裏金ではなく“女性問題”で…宮沢博行前防衛副大臣が議員辞職へ 本人を直撃!
日テレNEWS NNN / 2024年4月23日 21時9分
-
3マイナ保険証不可…「通報」奨励文書に反発「監視国家だ」 河野氏は「問題ない」
カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年4月23日 22時21分
-
4職員に「死ね」「三流大学以下」複数のハラスメント認定された愛知・東郷町長 会見開き進退について説明へ
東海テレビ / 2024年4月24日 6時10分
-
5コモドドラゴンがイラクの村に襲来し羊21頭を捕食 地元羊飼いが動画を撮影
東スポWEB / 2024年4月23日 14時33分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください