オススメ見逃しドラマ(下)年末年始に備えて その4
Japan In-depth / 2023年12月22日 11時0分
「あなたは、カメラが自分に向いていない時でも、全力でお芝居してたじゃない」
「女優の本分は、それ以上でも以下でもない。それを続けて。誰かがあなたを見つけてくれるわよ」
伊藤本人の弁によると、当時はまだ子供だったので「はい!」と元気よく返事をしただけであったが、キャリアを重ねてゆく中で、この言葉の意味をかみしめるようになった。
2020年には日本映画批評家大賞・助演女優賞を受賞し「26才の名脇役」などと呼ばれたが、2024年のNHKの朝ドラで主演に抜擢されたことが、先日発表された。
あらためて子役時代のドラマを見返すのも一興ではなかろうか。
最後にオススメしたいのは『スカイハイ』だ。
2003年にTV朝日系の「金曜ナイトドラマ」で放送された。主演は釈由美子。
実はこの金曜ナイトラマ(22時15分~翌0時10分)は割とよく構見ていて、第1回だけリアルタイムで見ている。
誰かに殺されたり、不慮の事故で命を落とした人がやってくる「恨みの門」があり、イズコという門番がいる。このイズコを演じるのが釈由美子で、やってきた人(霊魂?)は、三択を迫られる。
死を受け容れて天国へ行く。 死を受け容れず、霊となって現世をさまよう。 現世の誰かを呪い殺す。ただしその場合は、永遠に続く地獄の責め苦を受けなければならない。
要するにホラーで、どの選択をしようが、イズコは、
「お逝きなさい」
と言って送り出す。これが決め台詞。
前述のように私は、第1回だけをリアルタイムで見たのだが、もともとホラーがあまり好きではない上に、おどろおどろしさが正面に出過ぎているように思えたので、それきりになってしまった。
しかし、評判はよかったようで続編『スカイハイ2』も放送されたし、好意的なレビューも結構多かったので、見逃し配信を試した次第。
後悔した。どうしてリアルタイムで全部見なかったのか、と。
ストーリーの面白さと釈由美子の美しさが、近年見たドラマの中でも突出している。
私が特に好きなのは『スカイハイ2』の第1話「星に願いを」という回。不慮の事故というより、長距離バスの飲酒運転が原因という、殺されたも同然の4人が、恨みの門へとやってくる。幼稚園児の姉妹、初老の紳士、そして、ヤクザ者。
このヤクザ者を演じた伊原剛志の塩梅が、なんとも味があったし、子供たちが唄う『あわてんぼうのサンタクロース』がBGMのようになっているのも、今の季節にふさわしい。ラストシーンでは、思わず一緒に口ずさんでしまった。
なんと言うか、ネタバレを避けつつドラマを紹介するのがこれほど難しいとは……とあらためて思わされたし、また、いくつかドラマを紹介するうちに、あれもこれもと思い浮かんで往生したので、今回はこのくらいにさせていただくが、年末年始はバラエティ特番だけでなく、往年のドラマも一見の価値はある。
いずれドラマに特化した新シリーズを立ち上げようと思う。乞うご期待。
トップ写真:第34回日本アカデミー賞授賞式に登壇する俳優の西田敏行氏と三國連太郎氏(右)2011年2月18日東京・港区 出典:Kiyoshi Ota/Getty Images
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