金正恩、核戦争挑発露骨化と韓国総選挙介入【2024年を占う!】国際:北朝鮮
Japan In-depth / 2023年12月27日 15時0分
1)「新冷戦構造」を利用した新たな戦争挑発
金正恩は軍事力強化にオールインしている。経済・文化政策はすでに放棄したに等しい状態だ。2024年は軍事力強化と戦争挑発政策はさらに露骨となるだろう。
この動きを予測して、ワシントンで開かれた第2回「米韓核協議グループ」(12月15日)」では、「米国と同盟国に対する核攻撃は、金正恩政権の終末に帰結する」と明言し「米韓が2024年の半ばごろまでに核戦略計画および運用に関する指針と拡張抑止体制の構築を完成し、8月に“ウルチ・フリーダム・シールド”の大規模合同軍事演習で核作戦演習を行う」としたが、この米韓の決定に対して、12月17日、北朝鮮国防省スポークスマンは談話で「核対決宣言」だと猛烈に非難した。
北朝鮮は、米中対立とロシアのウクライナ侵略、そしてハマスの対イスラエル戦争という「新冷戦構造」を利用し、2024年には一層露骨な戦争挑発を行うに違いない。
2)韓国総選挙への露骨な介入
「米韓ワシントン宣言」(4月26日)と同時に発表された米韓日共同声明は、金正恩の核脅迫戦略に大きな打撃を与えた。米国はこの「宣言」を前後して、戦略資産の韓国派遣を具体化するとともに、米韓日による北朝鮮ミサイル迎撃体制を飛躍的に向上させた。金正恩の読み以上に迅速な「韓米、日米、米韓日の政治・経済・軍事的結束」は、金正恩の戦略を大きく狂わせ、これまでにない脅威を与えている。
北朝鮮が、この米日韓の包囲網を突き崩すには、韓国の従北朝鮮勢力に権力を奪還させ、再び韓日の間に楔を打ち込むことが最高の戦略となる。日本を韓国から引き離せば米国の拡大抑止戦略は機能不全となることを知っているからだ。
そうした意味で、金正恩は、2024年4月10日に行われる韓国の総選挙に露骨な介入を行うと予測される。この選挙で与党が敗北すれば、尹錫悦政権は、レイムダック化するしかない。同時にワシントン宣言も空洞化するだろう。それとは反対に与党が勝利すれば、韓国の従北勢力は壊滅的な打撃を受け、金正恩体制に計り知れない打撃を与えることになる。それは金正恩体制崩壊を促進するに違いない。
(本稿は12月22日に執筆したものです)
トップ写真:韓国と米国が半島付近で共同訓練を終えた翌日、北朝鮮は東海に向けて短距離弾道ミサイル(SRBM)8発を発射したと報道するニュースを見るソウル市民(2022年6月5日韓国・ソウル駅にて)出典:Chung Sung-Jun/Getty Images
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