専門家「お客様は神様じゃない」 調査からわかった悪質クレーマーの「本質」

J-CASTトレンド / 2017年11月21日 7時57分

深澤直之弁護士(2017年11月20日撮影)

「バカ、死ね、辞めろ!」「CMと実際の商品が違う。今すぐCMを止めろ」――ここ数年、客からの悪質クレームが増加傾向にあり、接客の現場を疲弊させている。なかには、クレームが原因で精神疾患を発症した従業員もいる。

こうした「悪質クレーマー」に対し、企業はどういった対応を取れば良いのか。

7割が迷惑行為の経験者

本来、クレームとは有益なものである。顧客の不満やニーズを拾うことができ、自社製品やサービスの価値向上につながる情報にもなる。そのため、企業も真摯に耳を傾ける必要があろう。

だが、その中には有益にならないばかりか、不利益をもたらす「悪質」なものもある。弁護士の深澤直之氏は、クレームを入れる客は全体の3~4%ほどだが、このうちの1~3%が「悪質クレーマー」だと指摘。数は少ないものの、クレーマー向けのマニュアル本が出回るなど常態化している、と警鐘を鳴らす。

労働組合「UAゼンセン」が2017年6月1日~7月14日の期間、接客業に就く男女5万878人を対象に実施した調査によると、悪質クレームなどの迷惑行為を受けたことのある人は7割に上ることがわかった。

内訳は、「暴言」(27.5%)が最も多く、以下「何回も同じ内容を繰り返すクレーム」「権威的(説教)態度」「威嚇・脅迫」「長時間拘束「セクハラ行為」「金品の要求」「暴力行為」「土下座の強要」「SNS・インターネット上での誹謗中傷」と続く。

ネット上での誹謗中傷も

具体的な内容を見ると、

「店舗設置の自販機で炭酸飲料を購入し、それを車内でこぼしてしまったため『クリーニング代を支払え』と要求された」
「加熱式タバコを禁煙席で吸わせろといわれ、それを断ると『副流煙を吸うことになるので体に害があった時には保障してくれるのか、すぐに禁煙席で吸えるよう変更しろ』と大声で騒がれた」

など理不尽な要求から、

「ラストオーダー間際に来店され閉店後に帰宅を促しても聞き入れられず。『どこまで迷惑をかけるのか』との趣旨で動画配信をされた」
「セクハラ被害を注意したところ逆ギレされ、ネットの掲示板で実名をあげて誹謗中傷された」

といった、ネット上での苦情まである。

悪質なクレームを受け、89.3%がストレスを感じ、精神疾患を発症した人も359人いた。

蔓延する「お客様至上主義の呪縛」

それでは、クレームに対し企業はどんな対応を取るべきなのか。

先述の深澤氏は、クレームは「顧客の要求、問い合わせや相談」「不満足(感情)」の2つに分けられ、まずは後者を鎮めることを推奨する。

「なるべく早い段階でお詫びを繰り返し、不満感情を払拭する。ただし、これは法的責任を認めているわけではないです」

次に、5W1Hを聞き出し、これを念頭にクレームの事実確認につとめる。

「ほとんどのクレームはまっとうな・正当なクレームなので、的確な処理をする必要があります」

悪質と判断した場合には、クレーマーの属性情報を問い、「どこのどなたか」を特定する。

「(悪質クレーマーは)感情の吐露のために、どこのだれかわからない他人になりすまして不平不満を言う(場合が多い)」「(属性情報を答えない客は)足の生えていない幽霊でお客ではないので『排除』で良い」

上記の対応でも解決しない際は、弁護士や警察への相談が有効とのことだ。

深澤氏は、接客サービスに携わる人たちの間に「お客様至上主義の呪縛」があると指摘。「お客様は神様じゃない」という意識を持ってもらいたいと訴えた。

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