中国、日本産水産物の輸入再開へ、ALPS処理水について日本と認識を共有(中国、日本)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月20日 18時0分
中国外交部は9月20日、東京電力福島第1原子力発電所のALPS処理水(注1)の海洋放出について、日本との間で認識を共有したと発表した(注2)。発表内容は次のとおり。
1. 日本は国際法上の義務を着実に履行し、最大の努力を尽くし、人体と環境にマイナスの影響を与えることを回避し、併せて、引き続き海洋環境と海洋生態への影響評価を行うことを明確にした。
2. 中国などの全てのステークホルダー国の懸念を踏まえ、日本は国際原子力機関(IAEA)の枠組み下で、海洋放出の重要な段階をカバーする長期的国際的モニタリングが構築されることを歓迎し、併せて、中国など全てのステークホルダー国がこれに有効に参加し、参加国による独立したサンプリングや分析機関間比較が実施されることを確保する。
3. 双方は、生態環境と人々の生命・健康に対して高度に責任ある態度で、科学に基づいて建設的な対話を継続し、海洋放出に関する懸念を適切に処理することに同意した。
4. 中国は、中国の関連法令とWTOルールに基づき、日本を原産地とする水産物に対して、緊急予防的臨時措置を実施したと表明した。中国は、IAEAの枠組み下で長期的国際的モニタリングへの有効な参加と、参加国の独立したサンプリングなどのモニタリング実施後に、科学的証拠に基づき、関連措置の調整を行い、徐々に基準に適合した日本の水産物の輸入を再開する。
なお、発表の前文で、中国は最大のステークホルダー国の1つとして、日本による一方的な海洋放出という無責任なやり方に断固として反対してきたとした。同時に、中国は日本に対し、国内外の懸念に真摯に対応し、自身の責任を着実に果たし、ステークホルダー国が参加する、独立した、有効な長期的国際的モニタリングを実施するとともに、中国による独立したサンプリングに同意するよう促してきたとした。
2023年8月24日から行われている日本のALPS処理水海洋放出を受けて、中国は同日から原産地を日本とする水産物(食用水生動物を含む)の輸入を全面的に停止している(2023年8月25日記事参照)。在中国日系企業などで構成する中国日本商会は「中国経済と日本企業2024年白書」(2024年7月11日記事参照)などで、輸入停止措置の撤廃を求めてきた。
(注1)中国はALPS処理水について「核汚染水」と表現している。
(注2)日本側の発表は外務省ウェブサイトを参照。
(河野円洋)
(中国、日本)
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