アゼルバイジャン、アルメニア、ロシア3首脳がナゴルノ・カラバフ紛争停戦で合意(アゼルバイジャン、アルメニア、ロシア)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2020年11月11日 10時30分
アゼルバイジャン、アルメニア、ロシアの3カ国の首脳は11月10日、ナゴルノ・カラバフ地区をめぐる紛争の停戦に合意した。アルメニアが大幅に譲歩し、実効支配地域の一部をアゼルバイジャンに返還する内容で、アルメニアの首都エレバンでは大規模な抗議デモが発生している。
ナゴルノ・カラバフとはアゼルバイジャン西部に位置する地域。アルメニア系住民が多数を占め、ソ連崩壊後の紛争を経て、アルメニアによる実効支配状況が続いていた。2020年7月以降、武力衝突が再発し、9月27日から戦闘が激化。ロシア、米国、フランスの仲介により10月に3度の停戦合意がなされたが、いずれもその直後に戦闘が再開し、合意が順守されていなかった。
ロシア大統領府の発表(11月10日)によると、合意内容は添付資料表のとおり。アルメニアの占領地域の一部をアゼルバイジャンに返還する内容でアルメニア側が大幅に譲歩したかたちだ。
今回の停戦合意の決定打となったのは、11月8日のアゼルバイジャン軍によるシュシャの制圧とみられる。シュシャはナゴルノ・カラバフ地区の主要都市ステパナケルトとアルメニア本土を結ぶ幹線道路沿いの町で、ステパナケルトを見下ろせる高台となっている軍事戦略上の要衝。アゼルバイジャン軍によるシュシャ制圧後、ステパナケルトからはアルメニア系住民の脱出が始まっていた。
仲介に当たったロシアのウラジーミル・プーチン大統領は「今回の合意はアゼルバイジャンとアルメニアの長期的な友好と利益に好ましい条件を創設するもの」と発言。アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領は「歴史的な出来事」と評し、紛争解決に参加したプーチン大統領やトルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領に謝意を示した。
一方、アルメニアのニコル・パシニャン首相は「合意はわれわれにとって信じがたいほどの苦痛を伴うものだが、軍事情勢を分析し人々にとって最良の方法を模索した上で決定した」との声明を発表し、勝利ではないが敗北でもないと強調した。
停戦合意を受けて、アゼルバイジャンの首都バクーでは戦勝を祝う市民が街に繰り出した。一方のアルメニアではパシニャン首相が締結した合意を不服とする大規模な抗議デモがエレバンで発生。デモ参加者がアルメニア議会や政府庁舎などに乱入する事態となっている。
(齋藤寛)
(アゼルバイジャン、アルメニア、ロシア)
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