8月の物価上昇率は前月比4.2%、予想に反してわずかに再加速(アルゼンチン)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月24日 0時15分
アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は9月11日、8月の消費者物価指数(CPI)上昇率が全国平均値で前月比4.2%増だったと発表した。前月比の伸び率は、2024年1月から5月にかけて4.2%まで減速を続け、6月は4.6%、7月は4.0%で推移していた。前年同月比(年率)では236.7%増と、9カ月連続で200%増を超えたものの、顕著に減速している(添付資料図参照)。1~8月累計の物価上昇率は94.8%増だった。
8月の前月比の伸び率を項目別に見ると、季節によって価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスは1.5%増で、前月の5.1%増から大幅に減速した。他方、季節要因などを除いたコアインフレ率は4.1%増で、前月の3.8%増から加速。エネルギーや公共サービスなどの価格が規制されている財・サービスは5.9%増で、こちらも前月の4.3%増に比べて加速した。
前月比の伸び率を費目別に見ると、平均値を上回ったのは住宅・光熱その他燃料の7.0%増、教育の6.6%増、交通の5.1%増などで、INDECによると、水道、ガス、電気などの公共料金や家賃の値上げのほか、教育費や公共交通機関料金の値上げが原因だ。CPIに占める比重が大きい食品・飲料(酒類を除く)は3.6%増と、7月の3.2%増からわずかに上昇し、主に肉類や野菜の値上げが目立った(添付資料表1参照)。
9月11日付の現地紙「ラ・ナシオン」と「クラリン」(電子版)によると、多くのエコノミストらは、8月のCPI上昇率は前月の4%を下回ると見ていたが、予想に反して4%を上回った。その原因はINDECの発表のどおり、家賃、公共料金、教育費、交通費の値上げのためと分析されている。9月は「社会的包摂の促進と資金調達のための外貨購入に係る税(通称:パイス税)」の税率が17.5%から7.5%まで引き下げられたことを受けて(2024年9月3日記事参照)、CPI上昇率の減速につながるとみられるが、ガソリン、医療保険料、電気およびガス、鉄道料金の値上げがあったため、前月比3%台の上昇率が見込まれるとしている。実際、ジェトロが9月18日にブエノスアイレス市内で独自に行った価格調査(添付資料表2参照)でも、ガソリン、軽油、鉄道料金などのほか、肉類でも大幅な値上げがみられた。
エコノミストらによると、政府の最大の目標は、前月比のCPI上昇率を2024年末には1%台に落ち着かせることだが、公共料金の値上げが続く予定のため、実現は難しいとの見方が大勢だ。しかし、2024年の年間CPI上昇率は120%となる見通しで、2023年12月末時点の見通しが213%だったことを考慮すれば、大きな改善には違いないとしている。
(山木シルビア)
(アルゼンチン)
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