デリー高等裁判所が特許訴訟に係る規則改正案を公表(インド)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2020年10月16日 15時0分

インド・デリー高等裁判所は10月9日、「特許訴訟に関するデリー高等裁判所規則改正案2020(The High Court of Delhi Rules Governing Patent Suits,2020)」を公表した。公表日から4週間、本改正案に関するパブリックコメントを受け付ける旨を発表した。

本改正案は、経済発展における知的財産(特に特許)の重要性に鑑み、特許訴訟の高度化・複雑化を背景とした訴訟手続きの遅延などに適切に対処するべく、デリー高等裁判所における特許訴訟の具体的な手続きの明確化を目的としたものだ。本改正案に含まれる主な規定は以下のとおり。

裁判所が係争中の技術を理解するための技術的手引書の提出を当事者に指示できること
訴訟手続きにおける聴聞内容の明確化
必要に応じて技術専門家の証言を要求すること〔いわゆるホットタビング(hot tubbing)規定〕
当事者の同意を得た場合に、ビデオ会議または遠隔地での証拠も考慮されること(証拠は編集不可能な電子形式で記録および保存される)
特許訴訟を担当する判事を支援するための科学アドバイザー委員会の設置

なお、本改正案は、民事訴訟法および商事裁判所法の規定に加えて定めるもので、これら規定の効力を損なうものではない。また、現行のデリー高等裁判所規則2018と矛盾する場合には、本改正案の内容が優先適用される。

インドでは年間1,000件以上の特許を含む知財訴訟が新たに提起され、その多くがデリー高等裁判所およびムンバイ高等裁判所で審理されている。急激な技術進歩やその技術に基づくインドでのビジネス拡大を背景に、近年、特許訴訟は確実に増加している。インドの裁判所のロールモデルに位置付けられるデリー高等裁判所では2016年から2019年にかけて、医薬、ITを中心に年平均45件の特許訴訟が処理された(裁判所データベースに基づくジェトロ調べ)。

ジェトロ・ニューデリー事務所がインタビューした、地場の知財法律事務所は「本改正案は複雑化する特許訴訟に対し、裁判所が適切に対応するためのもの」として肯定的な評価を下した。また、「インドにおいて特許の重要性が広く認識されつつあるという事実を示すものだ」と述べた。

手続きの複雑さや技術理解の困難さから、係争期間が長期化していた特許訴訟について、本改正案により、係争期間の短縮化や適切な判決が得られることが期待される。日本企業にとっても、インドにおける特許を活用する後押しになると見込まれる。

(阿部公威)

(インド)

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