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景況感は回復も競争環境は厳しさ増す、アジア・オセアニア日系企業調査(アジア、オセアニア)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月29日 9時0分

ジェトロは11月28日、「2024年度 海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)」を発表した。本調査は、8月20日から9月18日にかけてアジア・オセアニア地域(20カ国・地域)に拠点を構える日系企業1万3,727社を対象に、調査票をオンライン配布・回収を行ったもので、5,007社から有効回答を得た(有効回答率36.5%)。

調査結果によると、2024年の営業利益で黒字を見込む企業の割合は65.8%と、前年調査(62.4%)より3.4ポイント上昇した。2024年の景況感を示すDI値(注)は11.1ポイントと、前年調査(0.3ポイント)から10ポイント超の上昇となった。国・地域別の黒字割合は、ASEAN(65.2%)で4.3ポイント、インド(77.7%)で6.8ポイント上昇したが、中国(58.4%)では1.9ポイント低下し、2013年以降では最低となった。主に現地市場での需要の増減などが、営業利益見込みの明暗を分けた。

今後1~2年の事業展開の方向性について、「拡大」と回答した企業の割合は43.8%と、前年調査(45.5%)より1.7ポイント低下した。タイ(34.1%、8.1ポイント低下)や中国(21.7%、6.0ポイント低下)で下げ幅が大きかった一方、インド(80.3%、4.7ポイント上昇)やオーストラリア(50.3%、4.1ポイント上昇)では拡大意欲が伸びた。

進出先における競合相手の数は、2019年と比較して多くの国・地域で増加した。「増加」と回答した企業は中国で6割を超え、ベトナム、カンボジア、インド、バングラデシュ、韓国で5割を超えた。競争相手は、地場企業が最多で74.2%、次いで日本企業が62.4%だった。在ASEANの製造業では、中国企業との競合も目立った。

サプライチェーン再構築が進展、現地調達は拡大方針強まる

コスト上昇やサプライチェーン寸断などを受け、直近5年間で新しい調達先を開拓した企業(製造業)は71.5%だった。今後1~2年で現地調達を拡大する方針の企業は39.3%で、前年調査(30.3%)より上昇した。また、直近5年間で他国・地域から生産移管があった企業(製造業)は15.6%で、日本や中国からASEANへの移管が多かった。移管理由は、コスト競争力の向上やチャイナリスク回避などが挙げられた。

本調査では、営業利益見通し、事業展開、競争環境の変化、投資環境、サプライチェーンマネジメント、輸出、自由貿易協定/経済連携協定(FTA/EPA)、賃金実態を紹介している。詳細は、調査レポートを参照されたい。

(注)DI値とは、Diffusion Indexの略で、「改善」すると回答した企業の割合から「悪化」すると回答した企業の割合を差し引いた数値。景況感がどのように変化していくかを数値で示す指標。

(深津佑野)

(アジア、オセアニア)

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