米大統領選前に気候変動関連予算執行が加速、ジェトロの環境エネルギー月例レポート(2024年8月)(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月24日 0時20分
ジェトロは、米国の対環境エネルギー政策動向をまとめた2024年8月分の月例レポートを公表した。同レポートは、日本企業が米国の環境・エネルギー政策に関する動向を把握できるよう、毎月作成して特集ページに連載している。
米環境保護庁(EPA)は7月22日、全米30州の25件に上る地域主導プロジェクトに対して、総額43億ドルを交付すると発表した。この予算は、2022年8月に成立したインフレ削減法(IRA)によって設立されたEPA気候汚染削減助成金(CPRG)プログラムから拠出する。選定されたプロジェクトは交通、電力、業務用ビル・一般住宅、工業、農業・自然地、廃棄物・資材管理といった6つの部門から選出し、各部門で温室効果ガス(GHG)や汚染物質の削減を目指す。
また、米エネルギー省(DOE)は8月6日、全米各地の電力網の整備に対して、総額22億ドルを投資すると発表した(2024年8月8日記事参照)。選定した8つのプロジェクトは、官民合計で約100億ドルを投入し、合計1,000マイル(約1,609キロ)以上の送電線を更新する。既存の電力網に新たな革新的インフラ技術を導入することで、容量が13ギガワット(GW)近く増加する見込みだ。
8月12日には、ジョー・バイデン大統領は一部の太陽光発電製品に対する関税割当(TRQ)枠を現行の5GWから12.5GWに拡大するとの大統領布告を発表した(2024年8月14日記事参照)。これにより、太陽光パネルメーカーが中国以外の国から無関税で輸入できる太陽電池セルの量が2倍以上となった。バイデン政権は中国製の太陽光発電製品の輸入障壁を高める一方で、国内部品の供給不足に対応するための一時的措置として、今回の無関税輸入枠引き上げを決定した。背景には、米国の太陽電池セルの生産能力不足がある。
月例レポートではそのほか、米国内外の主要企業の最新動向も併せて紹介している。ジェトロの世界の環境・エネルギー政策についてのページから動向情報が随時確認できる。
(藤田ゆり)
(米国)
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